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第16回国際医療協力研究会「外国人のエイズ・結核の動向とこれからの対策に求められること」が開催されました

 平成29年2月8日に、第16回国際医療協力研究会「外国人のエイズ・結核の動向とこれからの対策に求められること」が開催されました。今回は、港町診療所所長、シェア=国際保健協力市民の会副代表の沢田貴志先生を講師としてお迎えしました。

【講演の概要】
 在留外国人数が増加傾向にあり、2016年6月末では230万人に達した。国籍別に見ると中国が最も多いが、近年はベトナム、インドネシア、ネパールの出身者が増加している。また、在留資格についても技能実習や留学が増加傾向にある。
 現在、日本の人口に占める外国人の割合は2%程度であるが、日本で結核に新たにかかる人の6%が外国人である。日本人の新たな結核患者の多くは高齢者であるが、外国人の場合は20〜30代が多い。少なからぬ外国人の出身国は日本よりも結核に罹っている人の割合が高いため、在留外国人が増えることで結核患者の増加に影響するということになる。HIVについては、外国人の感染者の数は2000年の始めの頃と比較すると減少し、日本人の感染者数に比べると少ないが、結核と同様に日本の総人口に占める割合で見ると高い。また、南・東南アジアの出身者は、HIV感染症が進行してから医療機関を受診する傾向がある。
 今後さらに外国人の数が増加していくことが予想されることから、彼らの保健医療サービスへのアクセスを向上させていくための取り組みが必要である。特に、誰もが使える医療通訳制度の普及や多様な在留資格で働いている人々への対応が重要である。

 今回の講演会は、厚生労働科学研究費補助金(エイズ対策研究事業)「外国人に対するHIV検査と医療サービスへのアクセス向上に関する研究」班との共催で行われました。これまでの講演会とは異なり、会場は新宿で、時間帯も午後3時から5時であったため、杏林大学の学生や教員の参加もありましたが、参加者の多くは保健行政関係者でした。講演の後の質疑応答では、それぞれの現場での外国人対応の現状や問題点などが活発に話し合われました。

杏林大学大学院国際協力研究科 教授 北島 勉
2017. 2. 21