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第6回杏林CCRC研究所セミナーについて

第6回杏林CCRC研究所セミナー報告


日 時:平成26年6月20日(金)13時〜16時

場 所:杏林CCRC研究所分室(三鷹市下連雀3-38-4 三鷹産業プラザ304)


講演者:下島 裕美(杏林大学 保健学部 心理学・社会福祉学研究室 准教授)
    
講演タイトル: 死生学教育を考える


 平成26年6月20日(金)、杏林CCRC研究所(三鷹産業プラザ内)で、保健学部からは下島裕美氏を講師としてむかえ、第6回杏林CCRC研究所セミナーが開催された。研究所からは蒲生、相見、松井、多田が参加した。学外からは、濱絵里子氏(一般社団法人てとて)、岡田美佐子氏(在宅ホスピスボランティアさくら)、中村克久氏(在宅ホスピスボランティアさくら)、林田昭子氏(NPO法人鷹ロコ・ネットワーク大楽)、高野修一氏(東急不動産ホールディングス(株)住生活研究所)が出席した。

 はじめに講師の下島氏から、死生学教育の概要と意義について、専門である認知心理学の観点から説明がなされた。人間には、日常生活を無意識に行う自分だけでなく、そのような自分を客観的に眺める自分が存在する。そのようなメタ構造を理解し、意識的に知識として取り込むことによって、自らをよりよく理解し、他者からの信頼も高めることができる。また、死にゆく過程を意識することは、それまでの人生について意識し直すことにもつながる。死と人生について考えさせる死生学教育は、日常的に病気や死と向き合う医療職を養成している本学において、とりわけ重要であるという指摘がなされた。
 次に、下島氏らによって進められている研究を踏まえ、セミナー参加者を被験者として、実際に自らの死と人生を意識する「五色カード法」と呼ばれる課題が実施された。五色カード法では、最初に複数のカードに自分の大切なものを記入する。そして、病気の発見・進行・死という物語を聞きながら、少しずつカードを捨てていく。すなわち、カードは病気の進行と死によってあきらめざるを得ないものを象徴している。自分自身で捨てるカードを選ぶ場合だけでなく、自分の意思とは無関係に捨てるカードが選ばれる場合もある。このような手法によって自らの死の過程を疑似体験することにより、死にゆく過程での心理状況の理解を深めることが課題の目的であった。
 五色カード法による課題終了後、課題への参加から得られた知見や教訓に関して、参加者全員による意見交換が行われた。特に、世代による死生観の違いや、若年世代に死生学教育を行うことの難しさに関して活発な議論がなされた。大学生など若い世代にとっては、自分が生まれた時点から時間軸が始まり、自分の死で終了するのに対して、高齢者や死を間近に控える人は、自分の生誕と死の前後の時間についても意識していることが多い。また、戦争を経験した世代を親に持ち、身近な人間の死を日常的に経験してきた世代に対して、現在の若い世代が死を身近なものとして考える機会は少ない。五色カード法による課題を行った場合も、大学生と高齢世代では異なる傾向が見出されたという。他方で、若年世代が高齢世代と異なる死生観を持っていること自体は自然なことであり、人生経験の積み重ねによって死生観を変化させていくものであるという指摘もなされた。
 三鷹をはじめとして、都市部では今後、超高齢化の進行により「大量死」時代を迎えるとされる。地域医療の中心的存在であり、死と向き合う機会の多い医療職を輩出する本学において、また、今後の社会を支える若年世代の教育にあたり、死生学教育のあり方と意義をより深く考える必要性を示すセミナーであったと思われる。

杏林CCRC研究所
松井孝太


セミナー風景

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