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循環器疾患〜上手な薬の飲み方 講演会報告

杏林大学「地(知)の拠点整備」事業
杏林大学・三鷹ネットワーク大学 共催

市民公開講演会

循環器疾患 〜上手な薬の飲み方

日時:平成26年6月28日(土)午後2時〜午後3時30分

場所:三鷹ネットワーク大学 教室ABC

講演者:吉野秀朗(杏林大学医学部第二内科学教室 教授)


 平成26年6月28日(土)三鷹ネットワーク大学にて杏林大学市民公開講演会「循環器疾患:上手な薬の飲み方」が開催された。研究所からは蒲生、相見、多田が出席した。当日は悪天候のなか会場定員がほぼ満席となる盛況であった。講演に先立ち、杏林大学広報担当者から杏林大学医学部循環器内科吉野秀朗教授のご紹介の後、吉野秀朗教授から「循環器疾患:上手な薬の飲み方」と題した講演が行われた。

 循環器外来で出される薬は飲まないより飲んだ方がよいなどの曖昧なものはなく、たった一回・たった一錠飲まなかっただけで命がけになるものがある。そのため薬を飲む際に大切な事として病気と治療内容・薬の主作用と副作用を理解すること、薬の飲み方や飲む時刻・タイミングを守りその理由を知ることがあげられた。心臓の病気には心筋症、冠動脈疾患、弁膜症や不整脈などがあるが講演では冠動脈疾患に焦点が当てられた。
 冠動脈疾患には狭心症や心筋梗塞がある。日本人には欧米と比較し発症率が高い安静時狭心症がある。安静時狭心症は夜間から早朝などの安静時に冠動脈が攣縮し冠動脈内腔が狭くなり心筋梗塞や突然死の原因となる。治療には冠攣縮を予防するカルシウム拮抗薬が使用される事が多く、薬の服用時間は就寝前と起床時が重要となる。薬の飲み忘れや患者本人による服用中断、転勤や転居によって薬がなくなり服用できずに突然死至った例もある。
 急性心筋梗塞は従来では冠動脈が徐々に狭窄し内腔が小さくなり発症すると考えられてきたが、現在では動脈硬化の粥腫が冠動脈攣縮により崩壊し血栓ができ冠動脈内腔が閉塞し発症すると考えられている。危険因子として高コレステロール血症、高血圧、喫煙、糖尿病などがある。危険因子のなかで高血圧は特に注意が必要である。高血圧は症状がなく、放置すると心筋梗塞以外に心不全や脳卒中などの死に至ることがある。そして高血圧には病院では正常血圧だが家庭では高血圧となる仮面高血圧がある。健常では夜間睡眠中は血圧が下がるが寝ているときも血圧が下がらない、または上がってしまう人がいる。夜間に高い血圧が続くためその分血管と心臓への負担も大きくなる。そのため病院で血圧を測定するから大丈夫と安心せず家庭でも起床後の血圧を測ることで降圧薬内服のタイミングの参考になることから自宅で血圧測定する習慣が大切であるとのことである。

 疾患の理解を深めることにより薬服用のタイミングの重要性、そして突然死はきちんと予防できるものだと思い大変有意義な講演会であった。突然死を予防することで一人でも多くの人が充実した人生を送れるよう願う。

杏林CCRC研究所
相見祐輝

吉野秀朗 教授

吉野秀朗 教授

講演風景

講演風景

会場風景

会場風景