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緩和医療の進歩 講演会報告

杏林大学「地(知)の拠点整備」事業
杏林大学・三鷹ネットワーク大学 共催

市民公開講演会

緩和医療の進歩 〜がんの苦痛はどこまでとれるか〜

日時:平成26年9月1日(月)午後6時〜午後7時30分

場所:杏林大学三鷹キャンパス 大学院講堂

講演者:窪田靖志(杏林大学医学部麻酔科学教室 講師)

 平成26年9月1日(土)杏林大学三鷹キャンパス大学院講堂にて杏林大学・三鷹ネットワーク大学共催公開講演会「緩和医療の進歩‐がんの痛みはどこまでとれるか‐」が開催された。研究所からは蒲生、相見が出席した。講演に先立ち、杏林大学広報担当者から杏林大学医学部 窪田靖志講師のご紹介の後、窪田靖志講師から「緩和医療の進歩‐がんの痛みはどこまでとれるか‐」と題した講演が行われた。

 日本では年間30万人ものヒトががんで亡くなる。近年2人に1人はがんで亡くなると考えられている。がん治療は加速的に進歩し5年生存率は右肩あがりであるが、5年生存率の上昇はがん治療継続期間が長くなることを意味する。その間における苦痛を軽減することがより重要視され、緩和医療の向上が求められている。がん患者の苦痛には痛みや日常生活動作の支障などの身体的苦痛のみならず、精神的苦痛(不安やいらだち)、スピリチュアルな苦痛(生きる意味への問いや死の恐怖など)、社会的苦痛(経済的や仕事上・家庭内の問題)などが同時多発的に生じる。緩和ケアとは苦痛の予防や軽減によりQOL(クオリティ・オブ・ライフ)を向上させるアプローチである。また、緩和ケアはがん治療の初期段階から、がん治療と一緒に受けるケアでもある。緩和ケアを受けることで、がん治療中に経験する苦痛を伴う吐き気、嘔吐、痛み、倦怠感などの症状が緩和され、がん治療に積極的に取り組める。
 痛みの治療には主に鎮痛薬を使用し、WHO方式がん疼痛治療法の「鎮痛薬使用の5原則」と「三段階除痛ラダー」から成り立っている。5原則とは①なるべく簡単な投与経路の薬剤を用い、②時刻を決めて規則正しく、③鎮痛効力の順に、④患者さんごとに合った薬の量を、⑤細かい配慮を行い投与することである。三段階の除痛とは、軽度の痛みには非オピオイド鎮痛薬(非ステロイド鎮痛薬やアセトアミノフェン)を、軽度から中等度の強さの痛みにはコデインやトラマドールなどの弱オピオイドを、中等度から高度の強さの痛みにはモルヒネやオキシコドなどの強オピオイドを使用することを言う。オピオイド(麻薬)はオピオイド受容体に作用する薬物の総称で痛みの強さに比例して増量することで対応できる。肝腎障害や胃粘膜障害などの副作用は少なく痛みにつり合うように使用すると依存症や中毒にはならない。オピオイドは基本的に内服であるが持続静脈注射や皮下注射などの投与経路を変更することで効果を直接発揮させることができる。また薬物療法以外に神経ブロック治療や放射線治療、神経障害性疼痛に対する鎮痛補助薬も使用される。
 オピオイドは、がんの痛みに非常に有効な薬であるが、麻薬中毒のイメージから、使用には未だに抵抗を示し、痛みを我慢して過ごしている方も少なくない。本講演で解説いただいた多様な鎮痛法を含め、正しい理解の普及が期待される。

杏林CCRC研究所
相見祐輝


窪田靖志先生

窪田靖志先生

講演風景

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