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連続講座「ボッチャ」開催報告


 本学COC事業は三年目を迎え、八王子三学部の三鷹・井の頭キャンパスへの移転を来春に控え、新たな展開を大いに期待されているところである。また、都下は2020年のオリンピック・パラリンピックを控え、「スポーツと健康」さらに我々の事業のテーマである都市型高齢社会の「健康寿命延伸」への関心も高まっている。
 ボッチャは「白い目標球に、赤・青のそれぞれ6球ずつのボールを投げたり、転がしたり、他のボールに当てたりして、いかに近づけるか」を競う競技で、障がい者向けに考案されパラリンピックの正式種目でもある。ボッチャは障がい者のみならず、高齢者でも生涯にわたり楽しむことが出来る知的なスポーツであることに、本学保健学部理学療法学科芝原美由紀教授、一場講師らが着目し、学生と共にその理解と普及に努めてきた。
 今回、杏林CCRC研究所では芝原先生、一場先生の理念に共鳴し、その活動を支援するため「健康寿命延伸に向けた杏林生涯スポーツレガシーの創造」に取組みたいと考え、「ボッチャ連続講座」を企画し開催した。連続講座はCOC事業連携市の皆様にご参加を募り、「新しい生涯スポーツとしてのボッチャの理解とCOC連携市における普及の可能性を探る」ことを目的に、また併せて2020年に東京で開催されるパラリンピックへの貢献を目的として、下記の4回の連続講座を開催した。

第一回 9月12日(土)午後1時~3時:外来棟10階第二会議室
「高齢者知的生涯スポーツの勧め:スポーツ医学の立場から」
講師:医学部整形外科学 小谷明弘 特任教授

小谷特任教授は「膝関節外科、スポーツ障害」を専門とされ本学整形外科学准教授を経て、現在は立正佼成会付属佼成病院整形外科部長として活躍されている。スポーツ医学の立場から高齢者スポーツについて講演を頂戴した。高齢者運動について、特にロコモティブシンドローム、生活習慣病と運動器疾患について解説いただき、健康寿命を延伸するための適切な運動療法の重要性を強調された。高齢化に伴う運動機能の衰え介助が必要となるのは必然であり、特別な将来ではないという認識が重要である。また今回の講演では2020年に予定されている東京パラリンピックにも言及され、「前回のオリンピックは戦後復興を示すものであったが、次回はパラリンピックにより日本社会の成熟度が問われる」との言葉が印象的であった。


「健康寿命の延伸につなげる地域での取り組み」
講師:保健学部公衆衛生学 照屋浩司 教授

照屋教授は「地域・職域における健康管理・健康増進、健康スポーツ医学、産業精神保健」を専門とされている。本講演では日本人の平均寿命と健康寿命の間隙、その間隙を縮めるための予防医学という概念と具体的な方策について解説いただいた。さらに平成4年から本学医学部衛生学公衆衛生学が三鷹市において取組んでいる運動相談事業のご紹介とその長年にわたる資料の蓄積からの考察をご披露いただいた。高齢者の健康維持に運動習慣は必要ではあるが、適切な動機付け、医学的指導と理解も重要である事を示唆いただいた。

小谷明弘先生

小谷明弘先生

照屋浩司先生

照屋浩司先生


第二回 9月19日(土)午後1時30分~3時:三鷹・産業プラザ7階会議室
「生涯スポーツとしてのボッチャ」
講師:日本ボッチャ協会 奥田邦晴 代表理事

今回の講師の奥田氏は大阪府立大学第七学系群総合リハビリテーション系教授を務め、リハビリテーション科学・福祉工学・スポーツ科学を研究分野とされている。障がい者のスポーツに関する調査研究を活発に展開されるかたわら、日本ボッチャ協会の代表理事としてボッチャの理解と普及に努められている。今回の講演では障がい者スポーツという概念から「ボッチャ」というスポーツの概要、さらにパラリンピックを含めた国際的な競技会での競技の模様等についてご紹介いただいた。「ボッチャ」は英国で盛んなローンボウルズやフランスで盛んなペタンク、また氷上で行うカーリングと類似で、重度の障がい者も参加できる知的なスポーツとして考案された。障がいによりボールを投げることができなくても、勾配具(ランプ)を使い、自分の意思を介助者に伝えることができれば参加できる。競技会は基本的に障がい者スポーツとして開催されるが、その成立と競技自体の性質から高齢者の健康維持やリハビリテーションのためのスポーツとしても十分に楽しめるものであると理解できた。

講演風景

講演風景

奥田邦晴先生

奥田邦晴先生

第三回 9月26日(土)午後1~4時:三鷹・医学部・体育館
「ボッチャ体験」

 保健学部には保健学部芝原教授と一場講師のご指導によりボッチャ協会による講習会を受講し審判資格等を持つ学生が多数在籍し、またボッチャの体験者も多い。今回は両先生のご協力の下、近隣市のボッチャ経験者、三鷹市民、本学学生を交えて実技体験を行った。ルールは極めて簡単で初めてでもすぐに理解できる競技である。また筋力、体力や持久力にかかわらず楽しめる競技である事が実感できる。極めて単純であるが実際のゲームとなるとボールのコントロールはままならず苦戦の連続であった。ボッチャは他の室内競技と比して必ずしも広い場所を必要とするものではないが、12.5m×6mの競技コートと周辺のスペース、ボールが転がるフローリング等の床が必要であり、また車椅子を必要とする高齢者の参加を考慮すると、必然的にバリアフリー化された体育館に類する場所が必要となる。今回、車椅子を必要とされる市民の方の参加に保健学部学生諸君の助力で対応することができたが、本学三鷹キャンパスの体育館もこの条件を満たしていない。今後普及活動を継続する場合の課題である。

実習風景1

実習風景1

実習風景2

実習風景2

第四回 10月3日(土)午後:外来棟10階第二会議室
「新しい生涯スポーツとしての「ボッチャ」の理解と普及促進へ向けた討論」
講師:保健学部 芝原美由紀教授

 芝原教授は保健学部理学療法学科の学生を中心に「ボッチャ」を障がい者スポーツとしてのみならず「高齢者スポーツ」として普及させることに取り組んでこられた。平成28年度から杏林大学は保健学部を含む八王子キャンパスを三鷹市井の頭地区に移転するが、今後、どのように地域社会の中で普及活動を展開していくのかについて討議した。今回は積極的な関与はなかったが、この種の活動に必須の行政との関わりをどのように進めるのかについても討議した。


 講座は高齢者スポーツの概念からはじめボッチャ紹介、実技体験と進めるものであり、原則的に総てに参加していただくこととした。このため多数の参加は想定せず、この講座を介して新たな市民と大学の協働の端緒とすることを目指した。参加条件のせいか講座前半の参加者は5名であったが、実りある討論が行われ、実技体験では近隣市の経験者を含め30名以上が参加し楽しむことができた。またこの連続講座に続いて10月末に保健学部理学療法学科一場講師・芝原教授が主催された「パラリンピック選手とのボッチャ体験会」へとつながる活動とすることが出来た。
 本連続講座を実施するにあたり、ご講演いただいた講師の先生方に感謝します。またご協力を得た多くの皆様、特に保健学部芝原教授、一場講師、保健学部の学生諸君に感謝します。

杏林CCRC研究所
蒲生 忍

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