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平成27年度COC/COC+全国シンポジウム講演報告


 平成27年度COC/COC+全国シンポジウム
「大学改革と機能別分化~地域における大学の存在意義の高まりと将来のあり方~」
講演及び高知大学との意見交換報告


 平成28年2月28日(日)から29日(月)の二日間、高知大学主催の全国ネットワーク化事業・平成27年度COC/COC+全国シンポジウム「大学改革と機能別分化~地域における大学の存在意義の高まりと将来のあり方~」への参加し「まち」パネルディスカッション分科会のパネリストとして登壇及び高知大学との意見交換のため、高知県高知市を訪問した。パネルディスカッションと意見交換の概要を報告する。


パネルディスカッションでは、高知大学・地域連携推進センター長・教授受田浩之氏がコーディネータを務め、「まち」づくり、特にCCRCを中心に議論することとなった。

 パネルでは金沢の社会福祉法人佛子園が運営するShare金沢の奥村俊哉氏から「福祉で描くコミュニティデザイン金沢の実践から」と題する報告が行われた。Share 金沢は安倍総理や石破地方創生大臣が訪問しマスメディアでも取り上げられた先進的な多世代が住み協働する施設であり広くその内容は知られている。奥村氏は今回のパネルで、佛子園が戦災孤児のための社会福祉法人として開設されて以来今日まで独自のサービスを創造し提供してきた歴史を説明し、現在のShare金沢を支える理念となっていることを強調した。

 続いて蒲生が登壇し、「杏林CCRC:都市型高齢社会の健康と安心を目指して」と題して報告を行った。報告では、本学が首都圏にあり、教育機関・研究機関としてのみならず、医療機関としての側面を併せ持っており地域医療への貢献に努めていること、COC事業では地域社会の知の統合拠点Center for Comprehensive Regional Collaboration(杏林CCRC)の確立を目的に、「健康寿命延伸」「災害に備えるまちづくり」「生きがい創出」を三本柱とする活動に取り組んでいること、特に地域を指向する教育に重点をおき、全学共通の必修科目「地域と大学」を新設したことを紹介した。

 続いてのパネリストは北九州市総務企画局の田中雄章地方創生推進室長で「北九州市における地方創生の取組」について報告した。北九州市は恵まれた自然と地理的優位性、また待機児童がゼロ、安い食糧費、広くて安い住宅提供等々の特性を持つにもかかわらず人口流出にさらされている。現在、国家戦略特区に指定され、「高年齢者の活躍や介護サービスの充実による人工現象・高齢化社会への対応」に取り組んでいる。その中で大学が多い特性を活かしCOC+事業「北九州・下関まなびとぴあ」を進めていること、そのなかで北九州版CCRCにも取り組んでいることが紹介された。

 蒲生の報告に対しては、米国CCRCとの関係性について質問が寄せられ、本学が医療機関としての側面を持ちRetirement CommunityのCareに継続的に努めているおり米国CCRCを踏まえての概念である事、また地域の高齢者の健康づくりに関し、学生参加の啓発活動に努めていること、また米国CCRCの成立には我々の視察から多層的なCommunityの存在がカギであることを回答した。

 翌29日は、高知大学COC事業関係者と意見交換を行うため、高知大学朝倉キャンパス地域連携推進センターを訪問した。高知大学からは高知県東部地域での具体的な取組みについて説明を受けた。特に人口減少の続く中山間部での様々な支援事業が紹介された。続いて本学COC事業の取組みについて蒲生が前日のパネルで紹介できなかった部分や具体的な取組を中心に説明を行った。その後、両大学の取組みに関する質疑応答と突っ込んだ意見交換を行った。「地方」と「都会」という対立軸の不毛性、高知県と首都圏が持つ問題は大きくことなるがその中には共通性も見出し得る事、また問題に関しての視点と重点の置き方、またアプローチに違いがある事を確認できた。これらの基盤を相互に認識し今後の協力の可能性について積極的な交流を進めたいと考える。

杏林CCRC研究所
蒲生忍