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意外に知らない子どもの便秘 講演会報告

杏林大学「地(知)の拠点整備」事業
杏林大学・三鷹ネットワーク大学 共催

市民公開講演会

意外と知らない子どもの便秘

日時:平成28年9月10日(土)午後2時〜午後3時30分

場所:三鷹ネットワーク大学

講師:浮山越史(杏林大学医学部小児外科学教室 教授)
   渡邊佳子(杏林大学医学部小児外科学教室 講師)
   二ツ橋未来(杏林大学医学部付属病院 看護師 副主任、皮膚・排泄ケア認定看護師)

講演概要
 ”最近、便秘に悩まされるお子さんが増えています。ですが、子どもに便秘なんてあるの?便秘で困る事なんてあるの?などと十分に理解されているとは言い難い状況です。子どもは身体の能力はもちろん感受性も成長の早さも異なります。そのわずかな違いにより子どもの便秘症ができあがってしまうのです。治療は薬の投与だけではなく、食事や生活習慣の改善、精神面でのサポートなど多岐にわたり、個々に合わせた最適な治療法を見つけていく必要があります。便秘がおこるしくみを知って、毎日排便する習慣を身につけるためにはどうすればいいかをお話したいと思います。”

浮山越史教授

浮山越史教授

渡邉佳子講師

渡邉佳子講師

 9月10日の午後、三鷹ネットワーク大学を会場に医学部小児外科学教室浮山越史教授他による公開講演会「意外と知らない子どもの便秘」が開催され、育児中の世代を中心に34名が参加した。本学医学部の小児外科は1980年に多摩地区における唯一の大学病院小児外科として開設され、腹痛、異物、外傷など子供の外科救急に積極的に取り組んできた。1994年には大学医学部の小児外科学講座(教室)となり、16歳未満の子供の外科治療を担当している。先天的な異常や難病の治療に加え、「子どもの便秘」にも専門外来を設けて積極的取り組んでいる。講演会は浮山教授が進行を務め、渡邊講師が便秘と排便の仕組み、意外と知られていない子ども便秘の特徴、便秘の治療について解説した。二ツ橋看護師は薬物療法や食事療法の留意点について解説した。講演後は十分な時間を取り、来場者からの質問に対応した。
 「便秘」とは「便が滞った、またはでにくい状態」と定義される。日本小児栄養消化器肝臓学会の「こどもの便秘」によると「便秘症は、よくある病気で、たいしたことではない」と考えられがちですが、---決してほうっておいてよい病気ではありません」また「こどもでも便秘症は珍しいことではありません。10人に1人くらいか、それ以上と考えられています」とある。子どもの便秘は大人の便秘とは原因がことなることがあり、原因を明らかにし適切な薬物療法や食事療法で改善可能である。しかしながら、子どもは身体的な苦痛に対し恐怖心が先行し、自分から症状を訴えられず、年齢によっては治療を理解することも困難であり、悪化する可能性がある。また、再発することも多く、良い状態を維持する継続的な治療を必要とすることもあり、症状と治療の正しい理解のみならず生活習慣や排便習慣の改善に家族をあげて取組む必要がある。
 国民生活基礎調査(健康票・平成25年度)によると「便秘」の有訴者率は人口千人当たり37.8人、年齢別では14歳以下では男女とも10人以下、15歳以上60歳まで男性では15人以下、女性で30-40人、60歳以降男女ともに増加し75歳以上では男女の差は無く110人程度に達する。この調査からは加齢に伴う便秘が浮き彫りにされるが、本講演会はまさに「意外と知らない」子どもの便秘と本学のキメ細かい外来対応について知る機会となった。

杏林CCRC研究所
蒲生忍



二ツ橋未来看護師

二ツ橋未来看護師