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介護予防とリハビリテーション-呼吸法も取り入れた運動療法の実践 講演会報告

杏林大学「地(知)の拠点整備」事業
杏林大学・三鷹ネットワーク大学 共催

市民公開講演会

介護予防とリハビリテーション-呼吸法も取り入れた運動療法の実践

日時:平成28年12月3日(土)午後1時30分〜午後3時

場所:三鷹キャンパス大学院講堂

講師:一場友実(杏林大学保健学部理学療法学科 講師)

講演風景

講演風景


○講演概要
 ”平成26年度我が国の死亡原因の1位は悪性新生物、2位は心疾患、3位は脳血管障害を抜いて肺炎となりました。脳血管障害の死亡率は減少の一途をたどっているのに対し、肺炎・心疾患・COPDなど呼吸・循環器系の死亡率は年々増加している現状にあります。この現状を踏まえ誤嚥性肺炎になりやすいかを見分ける簡易テストを実施し、実際の呼吸機能トレーニングを行い肺炎になりにくい体を目指します。また、運動機能・呼吸機能と認知症には強い関係があり、運動機能・呼吸機能が良いと死亡率も低く、認知症にもなりづらいという報告があります。今回、運動機能維持のための実際の運動療法(筋力増強)も正しい呼吸法で実施し、運動・呼吸機能の維持・改善を行い、より健康で長生きできる身体づくりを行っていきたいと考えています。”

一場友実先生

一場友実先生

 12月3日の午後、杏林大学三鷹キャンパス大学院講堂を会場に保健学部理学療法学科一場友実講師による公開講演会「介護予防とリハビリテーション-呼吸法も取り入れた運動療法の実践」が開催され、地域の住民等約50名が参加された。一場友実講師は吉備国際大学保健科学部理学療法学科のご出身で、平成記念会国際医療福祉病院等を経て2009年に杏林大学保健学部理学療法学科に赴任され、2012年より学内講師、2013年より講師として活躍されている。呼吸機能、整形外科疾患を研究テーマとされ、運動学、物理療法学等の講義を担当さている。本講演では要介護にならないための予防的な運動について丁寧に解説された。
 今後の超高齢社会では慢性閉塞性肺疾患COPDや肺炎の増加が懸念される。COPDの発症原因の90%は喫煙だが、肺炎は認知症や脳血管疾患の合併症が多く、特に誤嚥性肺炎が多い。誤嚥性肺炎の予防に口腔ケアに加えて、口腔機能の維持と強化が有効でありトレーニング法が考案されている。加齢による運動能力の低下は致し方ない部分もあるが、高齢者でも適切な日常の筋力トレーニングで筋力を維持することが必要で、認知症や各種の生活習慣病の発症リスクを下げる効果があるとされる。一場講師は特別な器具を必要としない呼吸筋ストレッチ法や筋力トレーニング法を実演しつつ解説」した。
 平均余命が伸びるなか、「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」いわゆる「健康寿命」の延伸が喫緊の課題であることが、今年度の本学の公開講演会で幾度となく取り上げられている。とはいえ、「日常生活が制限されること」と「要介護」は同じ意味ではない。何らかの制限がある中でも生活を楽しみ自ら知的・身体的機能を維持する活動を続けること、気持ちを萎えさせず「主観的な健康寿命」を維持して積極的な生活を送ること、それが介護予防に繋がると期待される。

杏林CCRC研究所
蒲生忍