1. 杏林大学トップ
  2. 糖尿病・透析で足を切断しないためには 講演会報告

糖尿病・透析で足を切断しないためには 講演会報告

杏林大学「地(知)の拠点整備」事業
杏林大学・三鷹ネットワーク大学 共催

市民公開講演会

糖尿病・透析で足を切断しないためには

日時:平成29年1月14日(土)午後1時30分〜午後3時

場所:三鷹キャンパス臨床講堂

講師:大浦紀彦(杏林大学医学部形成外科学教室 教授)


講演概要
 ”近年糖尿病・透析の患者さんが増加しています。足を切断すると生活が一変します。H28年の3月に透析患者さんの足を診察し悪くなる前に、専門病院へ送るという重症化予防の医療制度が新設されました。このしくみについて概説します。足を切断すると、生活が一変します。歩行できなくなると、廃用性障害が生じて、心血管疾患や脳血管疾患を生じやすくなります。健康維持のためには、足を切断せず歩き続けることがとても大切なことなのです。”

講演会風景

講演会風景

大浦紀彦先生

大浦紀彦先生

 1月14日の午後、杏林大学三鷹キャンパス臨床講堂を会場に公開講演会「糖尿病・透析で足を切断しないためには」が開催され、地域の住民等約60名が参加された。講師の大浦紀彦教授は日本大学医学部の出身で、東京大学医学部麻酔科学・形成外科学教室、埼玉医科大学等を経て、2005年に本学講師に着任された。本学医学部救急医学講師、形成外科学講師等を経て、2016年4月より形成外科学教授として熱傷、褥瘡、難治性潰瘍を専門とされ、下肢救済・フットケア外来も担当されている。さらに糖尿病による下肢切断を減らし「一生じぶんの足で歩こう」を信念に推進されている予防啓発活動「Act Against Amputation-なくそう下肢切断」の代表理事としても尽力されている。

 厚生労働省の平成24年度「国民健康・栄養調査」によると糖尿病患者は950万人、予備群は1100万人にのぼる。糖尿病は50歳を超えると増え始め60歳以上では2-3人に一人の高率になる。糖尿病は主に血糖値をコントロールするインスリンの作用が不足することによる疾患だが、初期は自覚症状が乏しく、放置し進行すると血管や神経が傷害され、重篤な合併症を引き起こす。

 大浦教授は糖尿病の合併症について「しめじ」と言う言葉で解説された。手足の感覚を失う「し:神経障害」、「め:目」が悪くなり失明の原因となる網膜症、人工透析が必要となる「じ:腎症」である。神経と血管の障害が進み、足の感覚が乏しく血液の循環が悪くなると、足の潰瘍や壊疽等の糖尿病性足病変に至る。大浦教授が代表理事を勤めるAAAの情報サイトでも「日本では、糖尿病神経障害や末梢動脈疾患(PAD)が原因で足病変が重症化し、下肢切断に至るケースが年間1万人以上に上ります。中でも糖尿病の足壊疽(えそ)による足切断は、非外傷性の切断原因の第1位で、年間約3千人が足をなくしている現実があります。足の切断に至った患者さんは寝たきりになる人も多く、1年生存率は透析患者で52%。5年になると約80%以上が死亡、透析を受けていない人でも5年で約6割が死亡するという報告もあります」と紹介されている。大浦教授は貴重な画像や動画を駆使して重篤な足病変の回復を紹介された。また、2016年4月から導入された透析クリニックですべての人工透析患者さんの下肢をチェックし、虚血のある患者さんを専門病院に紹介する医療連携システムを促進する診療報酬制度(下肢末梢動脈疾患指導管理加算)を紹介された。

 糖尿病増加の背景には高齢化に加えて、運動不足の日常生活や生活の変化などの環境の激変がある。生活環境を昔に戻すことはできないので、糖尿病を含めた生活習慣病に対しては予防に努め、また早期発見・早期治療に努めることが肝要であろう。定期的な健康診断により自身の健康状態を把握すること、適切な予防手段を講じること、医療側は適切な医療を提供するのみならず、正しい情報の提供と医療連携を行なうことが求められている。「歩くこと」は健康維持の要であると言われる。実際、本学のCOC事業でも羽村市との連携「スポーツ機会の提供プログラム」で「ポールウォーキング」や「ノルディックウォーキング」を紹介してきた。加えて、歩くための足にも注意を払いケアを怠らないことも必要である。ちなみに2月10日はフットケアの日とされている。

杏林CCRC研究所
蒲生忍

杏林大学について

入試ガイド

就職・キャリア

留学・国際交流

キャンパスライフ・施設

キャンパス案内

各センター・施設

研究・社会活動

PAGE TOP