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意外と身近な緑内障 その怖さ知っていますか… 講演会報告

杏林大学「地(知)の拠点整備」事業
杏林大学・三鷹ネットワーク大学 共催

市民公開講演会

意外と身近な緑内障 その怖さ知っていますか…

日時:平成29年1月21日(土)午後1時30分〜午後3時

場所:井の頭キャンパス F棟 309教室

講師:北 善幸(杏林大学医学部眼科学教室 講師)


講演概要
 ”40歳以上の日本人に、20人に1人の割合で緑内障の患者さんがいるといわれています。また緑内障の有病率は、年齢とともに増加していきます。緑内障は放置すれば失明する可能性がありますが、初期には自覚症状が少ないため、気づかずに過ごしている人が大勢います。 最近の緑内障の診断と治療の進歩は目覚しく、以前のような「緑内障=失明」という概念は古くなりつつあります。緑内障は早期発見と早期治療が重要です。 どのようにすれば発見でき、どのような治療をするのかについてお話しします。”

講演会風景

講演会風景

北先生

北先生

 1月21日の午後、杏林大学井の頭キャンパスを会場に公開講演会「意外と身近な緑内障 その怖さ知っていますか…」が開催され、地域の住民等約180名が参加された。講師の北講師は東邦大学医学部の出身で、オーストラリアシドニー大学留学、東邦大学医学部講師等を経て、2014年に本学講師に着任され、緑内障と網膜硝子体疾患を専門として活躍されている。

 北講師は視覚障害の原因、白内障と緑内障の違い、緑内障の治療等について丁寧に解説した。老化に伴う視覚障害としてレンズの役割を果たす水晶体の白濁が原因の「白内障」はよく知られ、世界的には視覚障害の第一の原因である。しかし、現在の日本では、白内障に関する知識が普及し、眼内レンズの挿入等の治療が普及奏効し失明の原因となることは少ない。視覚障害の第一の原因は緑内障で全体の約1/4を占める。緑内障は前房の房水の出口が目詰まりすることで眼圧が上昇し、視神経が障害される病気で、視野狭窄や、部分的に見えなくなり、最終的には失明する可能性もある。北講師は、緑内障はいわゆる正常眼圧でも発症する病型もあり、初期の自覚症状が乏しく、進行した状態で初めて受診する例も多いと早期発見の重要性を強調した。さらに白内障とは異なり、緑内障の治療は現状維持、すなわち視野障害の進行抑制は可能だが、視野障害の改善・快復は困難と説明した。快復しないということは生涯にわたり治療を継続し可能な限り現状維持に努めることを意味する。慢性疾患であり継続的な経過観察と治療も重要である。

 高齢化に伴う視覚の障害は、日常生活に不便をきたす。さらに高齢者になって視覚を失うことは自立生活を困難にし、大きく生活の質を損なう。視野の障害が急に起こった時には眼科を急ぎ受診するであろう。我々は、自身の視野の中の盲点の存在には通常は気が付かないし、そのような障害が徐々に拡大していても気が付くことが遅れることは十分に理解できる。自覚的努力のみでは対処できないこともある。定期的な健診と視覚についても留意することが重要であろう。

 今回の講演会は予想を超える多数の来場者であった。高齢者に高頻度で深刻な結果に至る疾患に関しての講演会活動が、市民の皆様に対しより適切な情報を提供する機会と成り、健康寿命の延伸につながることを希求する。

杏林CCRC研究所
蒲生忍