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杏林大学「地(知)の拠点整備事業」CCRC研究所連続講座開催報告 日常生活にちょっと役立つポジティブ心理学

連続講座名:「日常生活にちょっと役立つポジティブ心理学」

講師:杏林大学保健学部准教授 下島裕美
   杏林大学杏林CCRC研究所特任教授 蒲生忍

開催日時:平成29年6月9日(金)15:20-16:50
     平成29年6月16日(金)15:20-16:50
     平成29年6月23日(金)15:20-16:50
     平成29年6月30日(金)15:20-16:50


開催場所:八王子学園都市センター第3・第4セミナー室

○講座概要
 人は誰でも失敗や挫折を経験してやる気をなくすことがあります。また日常生活は楽しいことばかりではなく、不安や怒りなどのネガティブな感情も経験します。本講座では、ネガティブな経験や感情をうまく活用して日常生活を豊かに生きる工夫について考えます。

講座風景

講座風景

下島裕美先生

下島裕美先生

 平成29年6月9日(金)午後3時20分より、八王子学園都市センターを会場に本学が八王子市・三鷹市・羽村市と取り組んでいる文部科学省地(知)の拠点整備事業「新しい都市型高齢社会における地域と大学の統合地の拠点」の活動の一つとして、八王子学園都市大学いちょう塾の連続講座「日常生活に役立つポジティブ心理学」を開講した。八王子市の住民を中心に11名が受講登録された。「心理学」というと、カウンセリングを想像する方が多いかもしれないが、日常生活をより豊かに生きる方策を研究することも重要なテーマである。講師の保健学部の下島と研究所の蒲生は生きがいや幸福に焦点をあてたポジティブ心理学に注目し、市民の皆様と一緒に「「日常生活に役立つポジティブ心理学」」に取組んでみたいと考え、連続講座を開催することにした。講座は以下の4回よりなる。

第1回:「学習性無力感に陥らないためにできること」
度重なる失敗や挫折を経験すると無気力になります。これを学習性無力感といい,陥りやすい人とそうでない人がいます。学習性無力感に陥らず豊かな日常生活を送るためにできることについて話し合いましょう。
第2回:「あなたの時間的展望を測定してみましょう」
 アメリカの心理学者フィリップ・ジンバルドーが作成した「時間的展望尺度」の日本語版を使って,みなさんの過去・現在・未来の捉え方を見つめてみましょう。参加者のみなさんそれぞれに異なる時間のとらえ方,人生のとらえ方について話し合いましょう。
第3回:「日常生活を豊かにする”フロー体験”」
 時間を忘れて何かに熱中している状態,つまり「夢中になる」ことをフロー体験といいます。フロー体験は私たちにとって精神的・身体的によい効果があると言われています。みなさん自身のフロー体験について話し合いましょう。
第4回:「人生を豊かにするためのネガティブ感情の活用」
 人生を豊かに送るためには,ポジティブ感情とネガティブ感情の両方をうまく活用することが望ましいといわれています。ネガティブ感情の上手な活用の仕方について話し合いましょう。

 今回の八王子学園都市大学いちょう塾での連続講座は平成27年に杏林CCRC研究所において、みたか・認知症家族支援の会の協力の下,開催した市民と共に高齢社会の問題を考えるコモンズ活動「金曜サロン」に基礎を置いている。従来行ってきた地域貢献活動の公開講演会は質問時間を設けているとはいえ、市民との対話的要素が乏しい。金曜サロンでは市民と同じテーブルを囲み話題提供と意見交換することを目指した。その中で市民の「心理学」への期待が表出された。平成28年度はその要望に応えるため三鷹ネットワーク大学を会場とし4回の連続講座「日常生活にちょっと役立つポジティブ心理学」を開催した。三鷹市民や杏林大学「生きがいづくりコーディネーター」コースの受講者等を含め多数の参加希望があり、4回の講座を2回繰返すこととなった。今回はその経験をもとに参加人数を限定し八王子学園都市大学での開講に至った。
 講座は講師が各回のテーマを提示し、そのテーマに沿った課題を提供する。課題への反応を聴講者3-4名の小グループで共有し、また続けて全体で共有するという意見交換主体の講義形式で進められた。各回に提供される課題は「無力感に陥る時」「自分が今大切にしているもの」「ふわふわ言葉とちくちく言葉」「生活を快適にするもの」等、きわめて日常的な言葉で表される。それだけに課題への反応は千差万別であり、参加者の人生経験を反映した反応をその中に読み取ることができる。また、その反応を共有する中で、一律な正解を求めるのではなく、異なる見方や感じ方に触れることとなる。その意見交換の中で、参加者にとって、自身が気付いていない自分の発見となる機会もあったようである。講師にとっても普段の講義での20歳前後の学生とは全く異なる反応に新たな発見の喜びとなる機会でもあった。
 限られた時間の中、熱心にご聴講いただいた市民の方々に感謝します。

杏林大学 保健学部 下島裕美
CCRC研究所 蒲生 忍