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介護予防とリハビリテーション -呼吸法も取り入れた運動療法の実践 講演会報告

杏林大学「地(知)の拠点整備」事業
杏林大学・三鷹ネットワーク大学 共催

市民公開講演会

介護予防とリハビリテーション -呼吸法も取り入れた運動療法の実践

日時:平成30年1月20日(土)午後2時〜午後3時30分

場所:三鷹ネットワーク大学

講師:一場 友実(杏林大学保健学部理学療法学科 講師)

一場友実先生

一場友実先生


〇講演概要
 ”平成27年度我が国の死亡原因の1位は悪性新生物、2位は心疾患、3位は脳血管障害を抜いて肺炎となりました。脳血管障害の死亡率は減少の一途をたどっているのに対し、肺炎・心疾患・COPDなど呼吸・循環器系の死亡率は年々増加している現状にあります。この現状を踏まえ誤嚥性肺炎になりやすいかを見分ける簡易テストを実施し、実際の呼吸機能トレーニングを行い肺炎になりにくい体を目指します。また、運動機能・呼吸機能と認知症には強い関係があり、運動機能・呼吸機能が良いと死亡率も低く、認知症にもなりづらいという報告があります。さらに筋力は何歳になっても適切な運動により強化することは可能です。今回、運動機能維持のための実際の運動療法(筋力増強)を正しい呼吸法で実施し、運動・呼吸機能の維持・改善を行い、より健康で長生きできる身体づくりを目指していきます。”

 1月20日土曜日の午後2時より、三鷹ネットワーク大学を会場に公開講演会「介護予防とリハビリテーション-呼吸法も取り入れた運動療法の実践」が開催され、三鷹市と周辺の住民の方を中心に約80名が参加された。一場先生は吉備国際大学をご卒業後、国際医療福祉病院や国立病院東京災害医療センターで理学療法士として勤務される傍ら国際医療福祉大学大学院、首都大学東京大学院等で研究に励まれ学位を取得、2009年に杏林大学保健学部理学療法学科に着任された。2013年からは講師として学生の教育に活躍されている。

 日本人高齢者の死因で注目されるのが「肺炎」や「慢性閉塞性肺疾患COPD」等の呼吸器疾患である。喫煙が主要な原因とされ世界的には死亡原因の第三位のCOPDは日本人では10位前後にある。日本の喫煙率は過去50年の間に大幅に減少し30%以下に達しているが、COPD自体は今後の増加が予想されている。一方、脳血管障害や認知症の高齢者はしばしば摂食嚥下障害(誤嚥)を起こし、この誤嚥が肺炎の原因となる。誤嚥性肺炎の反復が予後を悪化させる。食前食後の口腔ケアで口腔内を清潔に保つことや「発音練習」「お口でジャンケン」等の口腔機能のトレーニングで誤嚥性肺炎の予防に効果的とのことであった。

 一方、要介護となる原因の第一位は脳卒中等の脳血管障害、第二位は認知症で、衰弱、骨折、関節疾患等の運動機能障害、いわゆるロコモが続く。筋力のピークは20-30歳代であり、加齢により筋力が低下することを妨げることはできない。しかし、一場講師は、適切な有酸素運動と筋力トレーニングを行うことで筋力低下を抑えることが重要で、高齢者でも継続的にトレーニングを続けることで筋力の増強が可能であり、その結果、転倒や骨折を予防できること、さらに呼吸機能の改善も期待できると説明した。一場講師は幾つかの簡単な筋力トレーニング法を安全に実施する注意を含めて紹介した。

 最後に一場講師はパラリンピックの正式種目「ボッチャ」について紹介した。一場講師は日本ボッチャ協会の一員としてパラリンピック選手のサポートに尽力されている。また本学学生と共に障がい者、高齢者を含め誰でもが参加できるスポーツとして、その普及活動を展開されている。地(知)の拠点整備事業においてもして継続的に支援してきた。一連の活動が地域に根付くことを期待する。

 一場先生の豊富な図を用いた丁寧でわかり易い講演に感謝します。また、多数ご参集いただき熱心にご聴講いただいた市民の方々に主催者の一員として感謝します。

杏林CCRC研究所
蒲生忍