昨今『ヤングケアラー』という単語を耳にする機会が増えました。『ヤングケアラー』とは、【18歳未満の子供のうち、学業や仕事と並行して支援が必要な家族のサポートも担っている存在】と定義され、その対応に乗り出す自治体が増加しています。
このような現状を踏まえ、杏林大学と羽村市は、連携事業の一環として「気づこう、かかわろう、こどものSOS」と題した公開講演会を行いました。講師を務めた保健学部健康福祉学科の加藤雅江先生は、大学で教壇に立つ傍ら、NPO法人の代表として子供の健全育成や子育て支援にも尽力されており、その豊富な経験談をもとに、「今、家庭内で本当に起こっている深刻な実態」についてお話されました。
「子供だけに目を向けていては、『ヤングケアラー』の抱える本当の課題は見えてこない。」と語られた加藤先生。ヤングケアラーのいる家庭では、貧困やDV等の複数の課題が存在している場合が多いそうです。子供を守るためには、その子供を家庭から切り離すことなく、「家」全体をケアの対象としてとらえる視点が必要になります。すぐに解決することが難しい問題だからこそ、小さな支援を継続して続けること、そしてその支援を地域全体に広げていくことの大切さが重要なのだと訴えられました。