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第4回 高校と大学をつなぐFD/SDを開催しました

第4回 高校と大学をつなぐFD/SDを開催

平成29年7月19日(水) 17:30より「第4回高校と大学をつなぐFD/SD」が開催されました。 講師は、共愛学園前橋国際大学の大森昭生学長を招き、「地域連携による学びの共有と高大接続~共愛学園前橋国際大学の事例~」と題して研修が行われました。杏林AP推進委員会主催、杏林CCRC拠点推進委員会と中期計画FD/SD実行部会の共催で行われたこのFD/SDでは、148名の参加者が熱心に先進的事例を学びました。

跡見学長挨拶のあと、動画も交えての講演が始まりました。

まず、大学のある群馬県の200万人を切っている人口変化、9,300人の大学進学者数、22校の大学数、83校の高校数、県外進学者6,100人、県内就職者4,000人などの基礎データの説明がありました。その後、この厳しい状況で、大学が行っている地学・教職・学職一体のグローカル人材育成についての具体的内容に移りました。 人材育成の方向性は、「地元で育てて地元に返す」という地方創生に寄与するものです。テレビ番組で紹介された「おっきりこみ」(京都府知事賞受賞)や単身の学生向けの食生活支援事業の「かあちゃんのまごころ」など、学生や卒業生が地学一体で地元の企業と連携し、ビジネスの実践活動や演習を行っていることが紹介されました。また、短期留学がメインですが学生の海外経験率は50%にも及びます。

このような実践型の学習を可視化しキャリアへの接続を図る中で、高校でも求められているアクティブラーニングのニーズに応えていくことで高大接続が密接に図られるようになっていった、との説明がありました。可視化としてアンケート、独自調査・定性評価、外部機関との学習行動調査やPROGの活用が行われています。これらを統合する形で、webポートフォリオであるKYOAI CAREER GATE(KCG)を構築しています。ディプロマ・ポリシーと12の成果指標やコモンルーブリックも作成して、学生のさまざまな学修や活動をエビデンスとともに蓄積し、深化する目標の設定をメンタリングを通して行い、自律的学習者を育ててゆきます。 KCGはエビデンスベースの自己評価の仕組みですが、教職員によるリフレクションで支援しています。

こうしたKCGを、アクティブラーニングが指導要綱の改訂で必要とされる高校に開放することで「学びの高大接続」を図っているのが特徴です。そして高校生が「KCGポートフォリオ」に蓄積した記入による「高校時代の学習の振り返りと可視化」と「12の力の自己評価とエビデンス」をもとにプレゼンを行うポートフォリオ入試を考えているそうです(AO入試に代わるもの)。大学生には、KCGが就職活動の際に4年間の膨大な活動記録となることも見逃せません。

さらに、「高大連携コラボゼミ」として地方創生予算による県や県教育委員会の事業で県が指定した高校で、高校生と大学生がアクティブラーニングを展開しています。学生が毎週高校に通い協働学習を行いシンポジウムも開き、今後は高校の課題研究の授業を大学が担当し単位も付与する予定です。このような学びの共有を行い高校のニーズに大学のリソースを入れることで高大接続が深化発展しています。大学教職員も県内高校への各種講師として多数派遣され、県・市教育委員や公立学校、SGH,SSHなどの委員、評議員、指導員となって高大接続を深めています。つまり入試からでなく教務=学びからの高大接続をしていることが成功の要因です。

地域人材育成を軸として学びの共有と接続のため、地元企業・自治体と県内高等学校と大学が密に連携しています。就職をさせたら大学の使命は終わりではなく、企業内での人材育成のニーズも聞きながら、そのために高校とのどのような接続が必要かを見すえた一連の流れの中で高大接続を行っています。

最後に、杏林大学に期待することとして、MOOCを利用して、杏林大学と地方高校、地方大学がアドバンストプレイスメントで結びつき、都内の高校も参加する「地方創生に寄与する都心大学モデル」と「先端の高大接続型入試モデル」の提案がありました。

講演の後、質疑応答に入りました。 
ルーブリックの自己評価はどの程度信頼できるのか?に関しては、エビデンスをしっかりとして教職員とリフレクションをもつことで自己評価と他者評価の相関が高くなるというお答えでした。

GLOCALという概念がピンとこないが、どのような意味かとの問いには、群馬の特性上、輸出産業も多く外国人比率も高いが、若い人材流出を止めるように、地元で生活・働きながら視点は世界を見ていられること、というお答えでした。

KCGなどのシステムはどのように作成したのか?については、アイデア、SPECは大学が作り業者に委託して作成したとのお答でした。

FDを行う上で、研究中心にしたい先生に理解してもらうのが難しいがどのようにしたら良いか、また、新しい科目をつくる場合に教材作成などはどのようにしているか?に関しては、大学経営がうまくいくように教職員が汗をかくことが必要であり、そのためには企業等の外部の力も必要に応じて利用している、とのことでした。

閉会に際して、スノードン副学長から挨拶があり、大盛況のうちに1時間30分の「第4回
高校と大学をつなぐFD/SD」は幕を閉じました。

高大接続推進室
2017.7.20