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第5回 高校と大学をつなぐFD/SDを開催しました

平成30年7月25日、夕刻より、杏林大学井の頭キャンパスで、「第5回高校と大学をつなぐFD/SD」が開催されました。講師は、早稲田大学 沖清豪教授で、同大の入学センター副センター長、入試開発オフィス長を務められている先生です。 演題は「学生の変容からみた高大接続改革の意義と課題」で、高校教員3名、杏林大学教職員84名が参加しました。

まず、大瀧純一学長が、入試改革・高大接続改革の流れの中で、本学でも種々のことを大きく変えていきたい、との挨拶がありました。稲垣大輔室長の司会で、講演会は進行しました。

沖清豪先生のご講演では、まず、入試・高大接続改革と学生との変容について、大綱化や女子学生の進学率、高卒新卒者の進学率、発達障害などの学生の多様化、保護者や社会・産業が期待する大学生像、等々の「卵と鶏」の関係から、お話が始まりました。

特に、文科省の制度で、すでに小学校と中学校の教育改革は、例えば英語教育やアクティブラーニングの導入などで、進み始めていることが指摘されました。一方、高校教育は、大学入試が現状のままであるからなかなか変えられないという高校側の意見と、送られてくる高校生の多様化・質的変化で大学教育がうまく機能しづらくなっているという大学側の意見が、ぶつかり合うことがあるそうです。

そこで、高校教育と入試と大学教育を三位一体で改革するのが、最善の方法であろうということで、入試改革・高大接続改革が始まったという説明がありました。しかし、文科省の想定、国公立大学の想定、私立大学の多様性、生徒・保護者のニーズが対立することもあり、簡単には進まない状況だそうです。

特に、入試改革での選抜制度の変更は、大学から高校へのメッセージですが、学力の3要素を測る方法、英語4技能(民間試験)の導入、基礎学力テストと大学入学共通テストの利用方法、調査書変更やe-Portfolio導入による高校教員の負担などなど、数々の具体的論点について解説が行われました。また、英語民間試験についてはそのコストや、地方や離島での受験機会の問題なども今後の課題です。

その中で、入試日程については、欧米のように選考開始から合格発表まで半年から1年かけて実施しているのと違い、日本では2か月程度で行ってきています。入試改革で多面的な能力を測り選抜するため、試験の時期を12月や11月に前倒ししたい意向の文科省に対して、特に公立高校は抵抗している現状があり、3年生は受験対応に合わせている私立高校との大きな溝がある、という指摘がありました。

学生の変容からみれば M.トロウのエリート型学生、マス型学生、ユニバーサル型学生の3分類は見事に、学生像の変化を言い当てています。それに対応して、国立大・高選抜性私大、中選抜性私大、低選抜性私大のそれぞれにおいて、基礎学力テストや大学入学共通テストの利用方法と科目数などを各大学が決めてゆくことになりそうです。 そして、CEFRに基づく英語4技能試験は到達度を見る試験となり選抜には使えず、実質的には4教科による選抜と英語4技能の到達度で評価することになるだろう、という指摘でした。 また、学力の3要素を評価するために、学力担保型のAO入試が中堅大学では求められていくのだろう、という説明でした。

ご講演のなかで強調されていたことは、2年後の入試改革より、高校の新しい学習指導要領に対応して入試大綱が変わる6年後が、高大接続・入試改革の本丸であるという点です。

最後に、質疑応答があり、スノードン国際交流センター長の挨拶で閉会しました。


高大接続推進室
文責:晝間大郎
2018.7.26