Vol.2 っていうかあ

「っていうかあ」というのを聞くようになったのは、ここ10年ぐらいだろうか。相手が何かを言ったときに、その合いの手として使われる。もっと短くなって、「ってか」、というのもある。

意味は、「と言うか」である。であるから、相手の言っていることの否定である。あなたがそのように言うのは、間違っている、あまり正確ではない、ということであろう。

では実例を見てみよう。

「これマジおいしくない?」
 「っていうかあ、やばいよね。」
 「ってか、まじハマリそう。」
 「そ。ってか、やばいよねえ。」

これは、新発売された或るお菓子について論じ合う杏林の学生二人の会話である。

初めて食べた一方は、これを大変美味であると表明した。相手は、初めて食べたのであるが、それを美味であると言う。さらに一方は美味であると言い、相手は大変美味であると言う。すなわち、この両者の間には、意見の相違がまったくない。新発売のお菓子についての評価は、完全に一致している。

こういう場合、「と言うか」という、相手の意見への不賛成、非同意を表明する語句の使用は不可能であるように思えるのだが、連発される。どうしたことであろうか。「と言うか」は、むしろ相手への賛成の表明であるかのように考えられる。

これと同じような語句として、最近耳にするのは「あとォ」というのがある。

「あとォ」の「ォ」は、「と」の音を、半分ぐらい母音の部分を伸ばしたような発音のされ方をする。意味は「後」からきており、更に付け加えるならば、ということであろう。

某アイドルについて、学生二人が論じる。

「もう、マジ信じらんないよねえ」
 「あとォ、うそーって思った」
 「あとあと、なんでー?って」
 「あとォ、ありえなくない?」

要するに、この二人は某アイドルの所業について、驚いているということしか、表明していない。驚いたということが、議論の出発点であり、驚いたということが結論である。その間、新たな論点や視点が付け加わったというように見えない。

「っていうかあ」も「あとォ」も、相手の言うことを聞いた、ということしか表さない。あまり意味がない。相手の言うことをちっとも聞いていないのかもしれない。

っていうかあ、どうでもいいんじゃないかなあ。あとォ、なんだか無駄っぽいィ。

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