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【ご報告】5月7日 第10回国際医療協力講演会が開催されました。

 5月7日(月)、第10回国際医療協力講演会が、三鷹キャンパスの看護医学教育研究棟101室で開催されました。今回は、景山健氏を講師としてお招きしました。景山先生は杏林大学外国語学部を卒業後、米国の大学院でMBAを取得され、民間企業で財務関連の仕事に従事された後に、2011年から特定非営利活動法人ピースウインズジャパン(以下、ピースウインズ)に入られ、同年8月から南スーダンでの緊急人道支援活動を行っておられます。
 講演のテーマは、「南スーダン共和国における緊急人道支援活動について」で、4月に一時帰国されたのでばかりの景山先生から、現地の状況や支援活動などに関するホットなお話を伺うことができました。以下、講義の概要です。

【南スーダンと活動場所について】
 南スーダンは東アフリカのケニヤとウガンダの北に位置し、2011年7月にスーダン共和国から独立した世界で最も新しい国です。ピースウインズが活動しているのは、南スーダンの南東部にあるジョングレイ州です。約20年間つづいた内戦終結後、同州には多くの人々が戻ってきましたが、水・食料・教育などの社会的インフラが未整備であったため、ピースウインズは、2006年から主に水・衛生分野の支援活動を行っています。

【井戸掘削事業について】
 ジョングレイ州内には、内戦などの影響で、飲料水供給といった基本的なインフラの整備されていない地域が多数あります。井戸がない地域では、濁った水を飲まなくてはならないため、下痢症に悩まされている人が多いようで、安全な水を提供できる井戸やトイレの設置が重要です。各地域の水へのアクセスや衛生面の評価を行い、有力者や井戸を主に使う女性達の話をしっかり聞き、井戸掘削会社と調整し井戸を掘り、地域の人々に井戸やトイレを届けます。また、住民を対象とした井戸やトイレの維持に関するワークショップも行います。2012年3月までに181本の井戸を設置しました。

【部族間衝突への緊急対応】
 独立間もない南スーダンは様々問題を抱えていますが、その中の一つに、メディアには取り上げられる機会が少ないのですが、「牛の強奪に端を発した部族間衝突」という問題があります。以前は、牛の強奪には、食糧が足りない者が牛を奪うといった食糧分配といった側面もあったようです。しかし、内戦などにより、武器が出回るようになり、牛を奪うことよりも、報復として他部族を殺すことが目的になってしまっています。2011年末に大規模な部族間の衝突があり、多くの犠牲者が出ました。ピースウインズとしては、この衝突のために避難をした人々や避難できずに取り残された人々に対する水や食糧の支援を行いました。衝突が起こっている時に、どのタイミングで、何をどのように届けるのか、地元のNGOや国連機関とも連絡を取り合い、協力をしながら支援活動を行いました。

 これまでの緊急人道支援活動を振り返り、突発的な事件にも対応できる柔軟性をもつこと、国連機関やNGOの強みや弱みを把握し、他の機関との役割分担をすることが重要であると感じました。

          前列の右から4人目が景山先生

前列の右から4人目が景山先生

 講演会には学内外から25人前後が出席し、活発な質疑が行われました。最後に、本学国際協力研究科の高坂宏一教授から、「私達にとってあまりなじみのない南スーダンの状況や課題について、多くの写真をみせていただきながら、とても興味深い話を聞くことができました。支援活動はこれからも続くと思いますので、身体に気をつけて頑張って下さい」という謝辞と激励の言葉が述べられ、大きな拍手とともに講演会は終了しました。

杏林大学大学院国際協力研究科 教授 北島 勉



■これまでの講演会の概要についてはこちらをご覧ください。

2012.05.12