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第11回国際医療協力講演会「タイの救急医療システムの現状」が開催されました。

 6月10日(月)に、三鷹キャンパスの看護医学教育研究棟101室において、第11回国際医療協力講演会が開催されました。今回は、タイ国コンケン県のコンケン広域病院(公立病院)において、同院の上席副院長及び救命救急センター長を務められているDr. Witaya Chadbunchachaiをお招きして、タイの交通外傷や救急医療システムに関する現状についてお話を伺いました。


【講演の概要】
 タイでは、外傷、心筋梗塞、脳卒中が死因の約25%を占めています。中でもバイクによる事故を原因とする交通外傷は大きな健康問題です。交通外傷による入院患者の5%(約45000人)が毎年新たな障害者となっています。

 コンケン広域病院は、1980年代後半から、外傷予防、病院前救護システム、病院における救急医療の質の向上、リハビリテーションの提供を行う、いわゆる包括的外傷ケアシステムの構築を行ってきました。この間、JICAから、2度の技術協力を得ました。また、救命救急センターを建設する際には、杏林大学病院の救命救急センターを参考にしました。

 外傷予防については、病院内、県の行政、タイ健康増進基金(Thai Health Promotion Foundation)、WHOと連携をとりながら、バイクに乗る際のヘルメット装着、シートベルの着用、飲酒運転禁止を推奨しています。1996年にバイク乗車時にヘルメットの装着を義務化する法律が制定されました。しかし、警察による取り締まりが十分されていないこともあり、特に若年ライダーのヘルメット装着率の低さと、それに伴う頭部外傷の多さが問題となっています。


               Dr. Witaya Chadbunchachai

Dr. Witaya Chadbunchachai

 病院前救護については、地域のボランティアなどを対象としたFirst Responder(第一対応者)、救急隊員、救命看護師の養成を行ってきました。コンケン県内については、タンボン(人口が5000〜10000人程度の行政地区)の大半に救急車を配置しました。緊急通報用電話番号1669を設けたので、コンケン広域病院内にある救急指令センター経由で最寄りの救急隊に連絡ができるようになりました。救急車の出動件数は増えていますが、救急車によって搬送された患者数は救急外来を受診する患者の10%程度にとどまっているため、救急車の利用に関してより一層周知することが必要です。

 病院内での救急医療については、外傷登録にから得られたデータをもとに、患者の予後の改善のための取り組みを行っています。また、重症患者がなるべく早く救急医療を受けられるようにするために、地域、指令センター、救急隊、病院間の連携を強化しています。更に、病院内で治療の質を高めるため、外傷ケアチェックリストを導入しています。これらの取り組みの成果として、外傷による死亡率は低下しつつあります。

 講演会には学内外から約20人が参加しました。講演の後、外傷予防における警察や道路を管轄している部署の役割、救急隊の活動に関する予算、タイでの自動車運転免許取得時の安全教育の現状などに関する質疑応答がありました。

 最後に本学国際協力研究科の野山修教授から、「コンケン県内の救急医療システムのめざましい発展に敬意を表したい。タイや東南アジア諸国においては交通事故が大きな健康問題であることを改めて認識することができた。予防可能な死や外傷を減らすために国際的な協力が重要であると感じた。Dr. Witayaの益々の活躍をお祈りしたい」という主旨の謝辞が述べられ、大きな拍手とともに講演会は終了しました。

杏林大学大学院国際協力研究科 教授 北島 勉

■これまでの講演会の概要についてはこちらをご覧ください。

2013.06.14

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