宮保さん、東條さん達9名の木暮ゼミ生は、5月に三鷹市内にある子ども食堂「だんだんばあ」で、自分達が企画商品化した飴を100名程の子どもに配り、交流しました。
この飴は、見た目は透明で、口に入れてから味が分かることから“謎飴(なぞあめ)”とネーミングされています。子ども達は、イチゴ、レモン、ラムネの3種類の味、計18個入りの袋を手に、次はどんな味か談笑しながら楽しみました。
飴の袋にはおみくじも入れています。宮保さん達は、子ども達が楽しめるよう、小学生向け、中学生以上向けとおみくじの種類を変え、さらに、腕相撲やじゃんけんなどのゲームで交流しながら、飴をプレゼントするという企画にしました。
「子ども達の笑顔が沢山見られたことが嬉しい」、「普段子どもと交流する機会がないため、子どもの考えていることに触れられて貴重な体験になった」と、宮保さん、東條さんは感想を語っています。
この謎飴が誕生した背景にはゼミのプロジェクトがあります。
木暮健太郎教授のゼミナールでは、昨年秋学期に「コロナ禍でのマイクロツーリズム」をテーマに企画を検討しました。
宮保さん、東條さん達6名のグループは、東京から程近く、江戸の雰囲気を残した川越市を取り上げることにし、現地に足を運び調査を実施しました。
川越の歴史や文化を地域の人に学んだ後、町を散策して、創業100年を超える飴屋「玉力製菓」を見つけました。「昔は飴作りが盛んだった川越で、現在手作りの飴を売るお店は数えるほど。この玉力製菓さんは代々家族で経営しています。そこから、新しい飴を商品化し、SNSを通して若者などの間でさらに広げることで、マイクロツーリズムを活性化させていく企画を提案した」と、宮保さんはプロジェクトについて話します。
玉力製菓の店主久保田さんから提示された条件を元に、グループで新商品を検討しました。そして、複雑な形・絵柄の飴は難しいということを受けて、味と色で他の飴と差別化を図ることにし、色素を抜き、見た目では味が分からない新しい飴を発案しました。さらに、川越で有名なおみくじを入れるという仕掛けも考えました。
完成した飴は、今年1月に店頭で限定100袋で販売され、即日完売しました。
「皆でデザインを考え、ラベル貼りや袋詰め、販売などを行いました。若年層をターゲットに企画していたのですが、大人など地域の方達からも好評をいただき、想像を超える結果となりました」と宮保さんは話します。
「玉力製菓さんを訪問した当初は、学生ということもあってか中々相手にしてもらえませんでした。今から思えば当然です。しかし、話し合いを重ねることで本気で向き合ってもらえるようになりました。また、挫折を繰り返した末に形にすることができたので、達成感はひとしおです」と、東條さんは振り返ります。
ゼミ生6名で始まったこのプロジェクトは、現在2・3年生12名に増え、商品開発部、イベント部、広報部と分担して取り組んでいます。今後も、保健学部 加藤雅江教授が中心となり運営する「だんだんばあ」の夏祭りや玉力製菓で秋に販売を行うなどの案が進行中です。メディアから取材を受けるなど、活動が広がっていることに宮保さんたちは驚きと嬉しさを感じています。
今後の目標について、宮保さんは「元々将来の目標を探すために、総合政策学部に入学しました。新型コロナが流行したことで、1年生の頃は実践的な活動や学生間の交流ができませんでした。これからもっと色々な活動を行い、コミュニケーション力やプレゼンテーション力を磨いていきたい」と話します。
東條さんは、「私は企画提案などに関心があり、企業経営学科を選択しました。木暮ゼミでは活発に実践的な学びを経験することができています。提案力や実行力などを磨くため、今後もこうした活動を頑張っていきたい」と抱負を語っています。
※記事および各人の所属等は取材当時のものです
総合政策学部 半田英俊ゼミナール 4年
花村 南帆(はなむら なほ)さん
大河原 崇樹(おおかわら たかき)さん
今井 大知(いまい だいち)さん
(2024年6月取材)