学外臨床実習は、三鷹中央病院、東京都済生会中央病院、東京都立多摩総合医療センター(いずれも東京都)、松阪市民病院(現・済生会松阪市民病院/写真)で行いました。今回は松阪市民病院呼吸器内科での実習について紹介します。
松阪市民病院の呼吸器内科は、県を代表する規模と専門性を備えており、県内各地から患者さんが来院します。また、周辺の病院からも多くの研修医が学びに来る施設です。
実習では、院長の外来診察や処置を見学したほか、気管支鏡検査では実際にスコープを操作する機会もいただきました。救急外来では、患者さんへの問診や身体診察から上級医への引き継ぎまで、一連の診療を経験しました。また、昼食時には研修医向けの勉強会にも参加し、研修医や医師が日々学び続ける姿に触れることができました。
特に印象に残ったのは、指導医から教わった「気管支の枝読み」です。画像で確認する気管支の枝と、気管支鏡で見る立体的な構造を一致させるのは難しく、呼吸器診療の奥深さを実感しました。研修医として呼吸器内科をローテートする際には、枝読みができるよう、これからも勉強を続けたいと思います。
外来では、患者さんの生活背景を踏まえて診療することの大切さを学びました。すぐに入院して加療が必要な患者さんが、畑仕事や運転免許の更新を理由に入院の先延ばしを希望されたことがありました。その際、院長が患者さんの思いを受け止めながら、病状や入院の必要性を分かりやすく説明する姿が印象に残りました。医学的に適切な治療を考えるだけでなく、それを患者さんにどう理解してもらうかということも、医師に求められる大切な役割だと学びました。
また、気管支鏡検査で鎮静薬を使用した場合、当日は本人が車を運転して帰ることができません。一方で、この地域では車で来院する患者さんも多く、診療にあたっては交通手段を含め、患者さんの暮らしにも目を向ける必要があると感じました。いずれも机上の知識だけでは学べないもので大変勉強になりました。
県内各地から来院する患者さんは、皆さんとてもフレンドリーで、学生の私にも温かく接してくれました。病院全体にもアットホームな雰囲気があり、職員の皆さんが仕事と交流の時間にメリハリをつけながら働いている姿も印象的でした。
長く通院している患者さんに、院長が「変化がなくても元気な顔を見せに来てくれることがうれしい」と声をかけていたことも心に残っています。患者さんと医療者との距離が近く、一人ひとりに丁寧に向き合う温かさを感じました。
今回の実習を通して、疾患だけを診るのではなく、患者さんの生活や思いまで目を向けることの大切さを学びました。研修医になってからも、この姿勢を大切にして診療に臨みたいとです。
実習のない日は散策をしました。松阪市は「豪商のまち」と言われていて、三井家の発祥地が病院近辺にあります(上)。杏林出身の先輩研修医に連れて行ってもらったとんかつ屋では、口の中でとろける牛の生姜焼きを食べました(下左)。霜降りが多い松阪牛は、すき焼きにうってつけです(右下)。
※記事および各人の所属等は取材当時のものです