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学びのモチベーションあがる研究と臨床実習

医学部医学科
5年 根本 展希さん
(2019年6月取材)

やりがい感じた消化器内科での研究

消化器内科学教室で研究を始めたのは、3年生の秋でした。久松理一教授から難病に指定されている潰瘍性大腸炎について、検査方法の一つである便中バイオマーカーの有用性を検討するテーマをもらいました。医学部付属病院臨床検査部との共同研究で、便に含まれる物質を測定してデータをとっていきます。潰瘍性大腸炎は患者さんによって罹患範囲が異なりますが、直腸炎型、左側大腸炎型、全大腸炎型によるデータの違いを調べました。
約1年間、100例を超える検体からデータを解析しました。地道な作業でしたが、患者さんや医師、臨床検査技師など多くの人が一つの検体に関わっていることを思いながら取り組みました。
臨床研究をまとめる際は、櫻庭彰人先生はじめ消化器内科の先生方がサポートしてくれました。データ集計のアドバイスや論文の添削など、先生方の粘り強い指導のおかげで研究成果としてまとめることができました。
[写真]櫻庭先生(右)から指導を受ける

国際学会でポスター発表

まとめた研究成果を、2019年3月6日から3月9日まで、デンマーク・コペンハーゲンで開催されたECCO-IBD 2019 第14回欧州クローン病・大腸炎会議(14th Congress of European Crohns and Colitis Organisation (ECCO) – Inflammatory Bowel Diseases 2019)でポスター発表しました。
発表のタイトルは「Value of fecal biomarkers are affected by extension of inflammation in ulcerative colitis」。便中バイオマーカーは潰瘍性大腸炎の検査として有用と言われていましたが、罹患範囲が異なると有用性に違いがあるという結果をまとめました。
私の発表についてフランス人の医師から質問を受けました。彼は、患者さんの体への負担が少ない点においては、便の検体からデータを導き出す検査法は評価できるが、フランスでは医療制度の仕組みが違うため、あまり実施していないと指摘しました。国際学会での発表には国による医療事情の違いも大事な視点だと気づかされました。
[写真]コペンハーゲン国際学会のポスター発表会場にて

患者さんのため、いまの自分ができること

潰瘍性大腸炎は炎症性腸疾患のひとつで、難病に指定されています。大腸の粘膜に炎症が起き、びらんや潰瘍ができる原因不明の慢性の病気です。主な症状は、下痢や血便、腹痛、発熱、貧血などで、さまざまな合併症が発現することがあります。しかし、適切な治療を行い、症状を抑えることができれば、健康な人とほとんど変わらない日常生活が続けられます。
日本には、潰瘍性大腸炎の患者さんが約20万人いるといわれています。少しでも、こうした患者さんや検査を行う医療関係者の役に立てたらと思っています。
[写真]コペンハーゲン国際学会での質疑応答のようす

学生生活 臨床実習に励む毎日

5月は金沢で発表を行い、6月は台湾での学会に共同演者として参加させて頂きました。11月は学会が多く、ほぼ毎週末、東京を離れて学会に参加しました。最新の研究に触れ、研究者と直接話をすることは、私にとって医学を学ぶモチベーションになっています。
いま、臨床実習の真っ最中です。各診療科を2~3週間かけて回りますが、患者さんや病棟スタッフと接する毎日は、学ぶことがとても多く、充実した日々を過ごしています。
6年生のクリニカルクラークシップでは、John Radcliffe hospital-Oxford UniversityとNational Taiwan University Hospitalの二つの炎症性腸疾患専門の施設で実習を行う予定です。そのために英語の勉強もしています。学生のうちにチャレンジできることは、すべてやりたいと思っています。
[写真]台湾で行われた学会

仲間と過ごす大切な時間

クラシック音楽が好きで、大学の管弦楽団に所属しています。団員達とは、大学外でも行動を共にすることがあります。人と話すことが好きなので、彼らとの交流は私にとってかけがえのないものです。部活と研究を両立できたのは団員達、特に同期の仲間の存在が大きかったです。
[写真]管弦楽団の仲間と

※記事および各人の所属等は取材当時のものです

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