2025(令和7)年11月10日(月)羽村市福祉センターにて、『子供の虐待防止講演会「安全で温かい子供の関係づくり~ペアレンティングプログラム”CARE”の紹介~」』が開催されました。
羽村市では毎年、市民の方を対象に「子供の虐待防止講演会」を開催しています。今回は本学保健学部臨床心理学科教授の栁田 多美教授が講師として登壇しました。
栁田教授は「トラウマ後の心理支援」を研究テーマとし、公認心理師・臨床心理士としても様々な支援対象者に関わってきました。現在は、大学での教育・研究活動と併せて、「ペアレンティングプログラム CARE(child-Adult Relationship Enhancement)」のスキルを基にした、”子どもとのよりよい関係づくり”の普及に取り組んでいます。
講演ではまず、トラウマに関する深い理解に基づく関わりである「トラウマインフォームド・ケア」について説明がありました。これは、トラウマや逆境に関する知識を踏まえ、支援対象者(と支援者側)を適切に理解・対応することで、支援対象者に「再トラウマ」を与えてしまうことを防ぐ重要な働きがあります。この考え方は、誰でもできるケアの姿勢であり、組織や地域全体で実践することが重要であるとされています。
栁田教授は、米国で実施された17,000人規模の小児期の逆境体験に関する調査結果を紹介し、小児期に経験する様々なトラウマが、その後の疾患リスクや人生に大きな影響を及ぼすことを指摘しました。そして、子ども時代における大人との安全で安定した関わりこそが、その人の長期的な健康に良好に作用することを説明しました。
続いて、「CARE」のスキルや考え方について、具体的な解説を交えながら講話が進められました。今回は正式なワークショップではないため、プログラムの背景にある根拠などの紹介にとどまりましたが、「なぜ体罰は“使う側”が依存しやすいのか」といった、大人が日常で陥りがちな子どもとの接し方の問題点について、その心理的な理由と子どもへの影響について深く掘り下げてお話がありました。
本講演会には40名を超える参加があり、終了後の質疑応答では複数の質問が寄せられました。子どもの健全な成長と虐待防止に対する、参加者の方々の高い関心を強く示すものとなりました。


地域交流課
2025年11月21日