2月2日(日)羽村市プリモホールゆとろぎ(生涯学習センター)において公開講演会「ドイツの物語から読みとく日本とドイツの親和性」が開催され、講師として本学の外国語学部准教授である田中洋先生が講演しました。
田中先生の専門は近現代ドイツと、作家ヘルマン・ヘッセの研究です。また、作品の分析と併せて、日本の読者や研究者にドイツ文学がどのように受容され、評価されてきたのかという、『日本における「受容史」』もテーマに取り組んでいます。今回は、「グリム童話集」や、ヘッセ、エンデなどの作家に代表されるドイツの物語がなぜ日本でよく読まれているのか、ドイツ文学を基に、日本とドイツの共通点や親和性を読み解くことをテーマにお話がありました。
「グリム童話集」は1812年に初版が出版され、1857年までに複数回改訂がされています。その成立過程、歴史的背景、作者であるグリム兄弟による民話の収集方法や当時の社会情勢について詳細な説明がありました。特に、日本においても絵本や映画で親しまれている「白雪姫」は、ディズニーによる映画化にあたり、さまざまな変更が加えられています。田中先生からは、原作との場面描写の違いやキャラクターの性格付けの変更など、複数の違いについて具体的な指摘がありました。また、明治時代以降の日本におけるグリム童話集の需要過程、特に教科書採用の経緯や、児童文学としての影響力について触れ、現代における読まれ方の変化についても解説されました。
講演後の質疑応答の時間では、フロアから「ドイツ統一前後での東西ドイツにおけるグリム童話の扱いの違い」について質問がありました。田中先生は、「東西ドイツでの扱いに大きな違いはなく、むしろ若い時期に読む教養的な作品として一貫して扱われていた。統一後も基本的な位置づけは変わっていないと言える」と回答。
会場は文学通の60人近い多数の参加があり満席で、文学作品を通して、ドイツと日本の関係性に理解を深める有意義な講座となりました。また、これまで文学を深く学ぶ機会がなかった者にとってもとても分かりやすく、「このような背景があったのか」と、新たな発見と興味が掻き立てられるものでした。
■ 一緒に学ぼう!ガイゴで専門分野を研究することの面白さ(田中 洋)
地域交流課
2025年2月3日