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ヘミングウェイと言語学

外国語学部
倉林 秀男准教授
(2019年6月取材)

杏林大学外国語学部卒業、獨協大学大学院博士後期課程単位取得退学。修士(英語文化研究)、Master of Applied Linguistics(The University of Newcastle, Australia)、博士(英語学)。埼玉県や東京都の中学校や高等学校で教鞭をとり、2005年4月に杏林大学外国語学部着任。共著『ヘミングウェイで学ぶ英文法』(2019年.アスク出版)が発売から数日で重版が決まり話題になる。著書は他に『言語学から文学作品を見る:ヘミングウェイの文体に迫る』(開拓社)、『街の公共サインを点検する』(共著.大修館書店)など

杏林大学外国語学部卒業、獨協大学大学院博士後期課程単位取得退学。修士(英語文化研究)、Master of Applied Linguistics(The University of Newcastle, Australia)、博士(英語学)。埼玉県や東京都の中学校や高等学校で教鞭をとり、2005年4月に杏林大学外国語学部着任。共著『ヘミングウェイで学ぶ英文法』(2019年.アスク出版)が発売から数日で重版が決まり話題になる。著書は他に『言語学から文学作品を見る:ヘミングウェイの文体に迫る』(開拓社)、『街の公共サインを点検する』(共著.大修館書店)など

ヘミングウェイとの出会い

大学のゼミでは、言語学を学んでいました。とくに「どういう場面で、どういう表現が使われるのか」を文法的な面から考えることをしていました。卒業論文では、村上春樹や吉本ばななの小説が英訳されたときの接続詞について考察しました。
ことばが人の心にどのような影響を与えるのか、とくに小説を読んで、ワクワクしたり、ドキドキしたりするのはなぜなのだろう、という疑問を持っていました。どうやらそういった研究は文体論というものだとわかり、文体論を学ぶために大学院に進みました。指導してくれた先生が薦めたのが、ヘミングウェイの短編小説『フランシス・マコーマーの短い幸福な生涯』でした。この本が面白くて、ヘミングウェイの作品をどんどん読み始めました。いま思うと『フランシス・マコーマーの・・・』は、私の運命の1冊といえます。

小説を言語学からアプローチ

日本ヘミングウェイ協会という学術団体があるのですが、大学院生の頃にそこで研究発表をしました。すると文学作品を言語学の視点からアプローチする私を面白がってくれたのです。
会員は文学の専門家が多く、私のように文章を構成している助動詞や形容詞などに注目してヘミングウェイを読む人間はめずらしかったのでしょう。たとえば、彼は、事実を淡々と述べるハードボイルドな作家と言われています。しかし、ヘミングウェイの緻密に組み立てられた文体をよく見てみると、男らしさや非情さを内包するハードボイルド的なものではなく、むしろ繊細な文体だということがわかりました。機会があれば、皆さんも原文でヘミングウェイの小説を読んでみると面白いかもしれません。そうこうしているうちに、「へー、そう読めるの。では、この作品は?」と次々とヘミングウェイの作品を薦めてくれたのです。
(写真はパリのソルボンヌ大学で行われた学会に参加したときに撮影)

タネや仕掛けを探り出す研究

小説を読んで面白いな、ワクワクして楽しいな、と思うのは、作家が「ことば」を工夫して文章にしているからだと思っています。なぜこの表現を使うのか?どういう意図を含んでいるのか?ことばや表現に注目して読み込むと、その理由がわかるのです。文章にはタネも仕掛けもあるんです!
例えば、父親のことを、お父さん、おやじ、パパなど、何と呼ぶかで、発話者と対象者の距離感や対象者の雰囲気がつかめたりします。登場人物のことば遣いや、どのようなことばを話すのかで、人物像が推定できるのです。情景や時刻につながるヒントも見つけ出すことができます。文字だけの世界から、彩りのある世界に変わるのです。
何度も何度も読み返し、読んでは調べる、の繰り返しで、とても根気が必要ですが、わからないことがわかる面白さや達成感が、研究を続ける支えになっています。
(写真はパリでヘミングウェイが住んでいたアパート)

『ヘミングウェイで学ぶ英文法』がベストセラーに

外国語で書かれたものを読むには文法が大事。そう思って書いたのが、冒頭で紹介した『ヘミングウェイで学ぶ英文法』です。
大学教員になるまえ、中学や高校で英語を教えていました。その経験から、生徒がつまずいたり、間違えたりするところにポイントをおいて、解説したのがこの本です。そして、ヘミングウェイの文章は高校生でも辞書を使えばなんとか読めます。文法の勉強をしながらヘミングウェイの小説が読めれば、楽しいですよね。
そのなかから一人でも小説やことばに興味を持ってもらえたらと思います。私もまだまだ勉強中。小説は奥が深く、とても魅力的な研究対象です。

※記事および各人の所属等は取材当時のものです

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