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大学ホーム>ニュース&イベント>【トピックス】 大塚弘毅助教がEMINENT SCIENTIST OF THE YEARを受賞

医学部臨床検査医学教室の大塚弘毅助教が
EMINENT SCIENTIST OF THE YEAR 2008を受賞

 医学部臨床検査医学教室の大塚弘毅助教が、International Research Promotion Council (IRPC)の選ぶ2008年のEMINENT SCIENTIST OF THE YEAR (Cancer Surgery and Molecular Genetics部門)を受賞し、杏林大学がCENTRE OF EXCELLENCEとして紹介されました。

 IRPCは1993年に英国で設立され、医学研究の成果を広く世界に普及することを目的とする団体で、その推進のために毎年全世界の医学研究者の中からEMINENT SCIENTIST OF THE YEARを選出しており、受賞者の所属施設も同時にCENTRE OF EXCELLENCEとして紹介しています。2008年度は11人の研究者が受賞しており、その中には英国のUniversity College of Londonや、米国のMD Anderson Cancer Centerなど、世界的に著名な施設の研究者も含まれています。

 大塚助教の研究題目は、“Abnormalities of epidermal growth factor receptor in lung squamous cell carcinomas, adenosquamous carcinomas and large cell carcinomas: Tyrosine kinase domain mutations are not rare in tumors with an adenocarcinoma component”です。これは、全世界的に主要な死因の一つであり、現在も増加しつつある肺癌において高頻度に認められる、EGFR遺伝子変異についての研究であり、当教室の大西准教授の指導のもとに行われたものです。近年、イレッサなどの分子標的薬剤の開発により、肺癌の薬物療法の意義が高まっていますが、EGFR遺伝子変異はこれら分子標的薬の効果に密接に関連します。従来、EGFR遺伝子変異は肺癌のうちの腺癌という種類の癌のみに認められるとされていましたが、本研究によって、腺癌成分をもつ扁平上皮癌にもEGFR遺伝子変異が認められることが明らかになりました。これにより分子標的薬の適応が拡大し、その恩恵に浴する患者が増加することが期待されます。EGFR変異検査は簡便な検査法が普及しつつあることもあり、本研究の意義は先進国にとどまらず全世界的にも重要であるという点が評価され、受賞に至ったと考えられます。

 また、CENTRE OF EXCELLENCEとして世界の代表的な研究施設と並んで杏林大学が紹介されたことは、大塚助教個人のみならず杏林大学の研究レベルが世界的なものであることを示す、大変名誉なことであると考えられます。

 なお、この研究の内容は2007年2月にCancer 誌に掲載されました。


医学部臨床検査医学教授 渡邊 卓

2009.03.13