国際協力講演会「ハイチにおける緊急医療支援活動について」
4月16日(金)、午後7時より杏林大学三鷹キャンパス医学部臨床講堂において、第5回国際協力研究会を開催しました。今回は、近藤美智子さん(杏林大学国際協力研究科医療協力専攻在籍)に、「ハイチにおける緊急医療支援活動について」と題してご講演をいただきました。
今年の1月12日にハイチで地震が発生し、多くの方が被災されました。近藤さんは、被災者を支援するために日本政府が派遣した国際緊急援助隊医療協力チームに看護師(サブリーダー)として参加されました。講演では、国際協力国際緊急援助隊の歴史と国際緊急援助における位置づけ、ハイチ共和国の概要と被災の状況、現地で医療支援活動などについて多くの写真とともにお話いただきました。
首都ポルトープランスから40kmほど離れたレオガン市の看護専門学校に拠点をもうけ、総勢27名のチームメンバーと8日間にわたり、のべ534人の治療を行ったそうです。患者の65%が外傷で、重傷者が多かったとのことでした。
治安状況が悪い、医療資機材が足りない、現地で物資調達ができない、日中の気温が48度まで達する、患者の大半は英語もフランス語も話せない等々、大変厳しい状況下で、チームメンバーが協力しあい、様々な工夫をしながら診療活動をされていた様子がよくわかりました。看護師の間では、「エレガントに行こう」が活動のモットーだったということでしたが、厳しい中でも思いやりの気持ちを忘れずに活動されていたということが、伝わってきました。また、現地では、被災者でもある現地の看護学生の協力や、スリランカ軍による警護、欧米のNGOとの連携など、多くの国の人々とのつながりのもとに支援が行われていたようです。
講演会に参加した大学院生、大学病院の職員、一般参加者から多くの質問が出て、大変有意義な講演会でした。
近藤さんは、「まだまだ復興途上であるハイチのことを忘れないで見守り続けることが大切です」と話していました。そして、今後の抱負として、今回の経験を次回以降の国際緊急援助医療協力に活かすためにも、データ分析を続け、支援の効果や課題について整理をして行きたいと語っています。
国際協力研究科ではこれからも、一般の方、大学院生などを対象にした国際協力に関するテーマの講演会を 開催します。関心のある方はぜひご参加ください。 詳細は本学ホームページにてご案内いたします。 ≫杏林大学大学院国際協力研究科 |