特定疾患のギラン・バレー症候群(Guillain-Barré syndrome; GBS)に関して、これまでに世界で発表された9000以上の論文の中で、医学部内科学Ⅰ・神経内科学の千葉厚郎教授が1993年に出した論文が、原著論文の引用回数では3番目にランクされていることが明らかになりました。
6月21日-24日イギリス・グラスゴーで開催された国際末梢神経学会・炎症性ニューロパチー会議において、本年が1916年のギラン・バレー症候群の原著論文発表から100年目にあたることを記念して、『GBS100: Celebrating a Century of Progress in Guillain-Barré syndrome』という本が出版されました。
この本はギラン・バレー症候群に関する臨床・研究の業績を、様々な視点からおよそ560ページにわたりまとめたもので、その一章でこれまで全世界でギラン・バレー症候群に関して書かれた論文について、その引用回数からみたTop 10が示されています。この中で、本学医学部内科学Ⅰの千葉厚郎教授が1993年に出した論文が、全論文の中では7番目、総説などを除いた原著研究論文としては3番目にランクされていることがわかりました。
1993年の千葉教授の論文は、ギラン・バレー症候群の亜型のフィッシャー症候群における病因的自己抗体(抗GQ1b抗体)の発見に関するものです。この論文は、「ギラン・バレー症候群の臨床病型は、出現する抗体の種類とその抗体が認識する抗原の神経組織における分布の組み合わせによって規定される」という発症メカニズムの中心的仮説を支持する根拠を、臨床的・生化学的に明確に示したという点で特異性があり、世界の研究者の注目を集めたものと見られます。2011年には掲載されたNeurology誌で、「Historical Abstract」としても取り上げられています。
引用回数が上位にランクされたことについて千葉教授は、「これまで多くの方々の目に留めていただき、その研究の参考となったこと、また、論文が発表後の時間的検証に耐えるものであったことを大変嬉しく思っています」と話しています。