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大河戸准教授が日本臨床細胞学会で最優秀論文賞

保健学部臨床検査技術学科の大河戸光章准教授が、2021年6月5日に幕張メッセで開催された 第62回日本臨床細胞学会総会で最優秀論文賞(英文誌)を受賞しました。
日本臨床細胞学会は、医師と細胞検査士など1万人を超える会員で構成されています。最優秀論文賞は、日本臨床細胞学会雑誌もしくは Acta Cytologicaに掲載された臨床細胞学分野の論文の中から最も優れた論文として英文誌1編、和文誌1編が毎年表彰されるもので、大変栄誉ある賞です。

大河戸准教授の受賞論文は「Okodo M, et al. (2020) Koilocytic changes are not elicited by human papillomavirus (HPV) genotypes with higher oncogenic potential. J Med Virol 92:3766–3773」です。コイロサイトは1950年代に発見され、HPV感染を示唆する細胞として子宮頸部細胞診で現在でも重要視されています。HPVの中で子宮頸がんを特に誘発しやすいタイプとして16型、18型、52型などの遺伝子型が知られていますが、コイロサイトはこれらの遺伝子型を含むすべてのウイルス増殖によって引き起こされる細胞変性だと信じられて来ました。しかし、本研究では、39種におよぶHPV遺伝子型の独自のタイピング法とmicrodissection技術を開発して解析した結果、コイロサイトは子宮頸がんを誘発しにくい遺伝子型をもつHPVによって引き起こされる変化であることを明らかにしました。

コイロサイトの存在が、子宮頸がんを誘発しにくい病変を意味することを立証した功績は大きく、細胞診による前がん病変の予後推定に貢献すると期待されます。

受賞した大河戸准教授は、「HPV感染女性の多くは頸がんを発症しません。科学的根拠のない不安を持たないためにも、予後を推定できる指標を明らかにしたいです。研究を支援いただいた多くの先生方に心から感謝します」と話しています。

保健学部臨床検査技術学科教授 島田厚良

2021.6.16