医学部生がコロナの経験をもとに「私たちの教科書」を発行

 医学部では2020年度の1年生が、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けた自分たちの「経験」をもとに、社会や医療の諸問題についての考察を「私たちの教科書」としてまとめ、冊子として発行しました。

 「良き医師」になるためには、医学・医療に関する知識・技能だけでなく、文化的・社会的文脈のなかで人々がいかに暮らしているのか、いかに暮らしたいのかを理解することが求められます。そのため1年次には、地域での活動に参加し、学ぶことを通して医学生としてふさわしい価値観や態度を身に着けます。しかし、昨年度は新型コロナウイルス感染症の拡大により、こうした体験ができなくなったことから代替プログラムを実施せざるを得ませんでした。
 代替プログラムでは、新型コロナウイルスの影響による生活の変化を「体験」として捉え、生活、地域、医療・福祉について学生自身の「体験」をもとに考察しました。各自が定めた研究テーマは、新型コロナによる医療崩壊への対策、オンライン診療の普及、差別と偏見、感染拡大による環境問題など多岐にわたりました。
 ある学生は、終末期緩和ケア施設に入所していた親族の体験を元に、面会制限によりいかに患者の病状が悪化するのか、感染症の予防と面会者とのコミュニケーションを両立させる方法について多角的に思考し、隔離面会室を用意し電話等で面会するなどの解決案を提示しました。

 代替プログラムの実施に関わった医学教育学教室 江頭説子講師は、「2020年度に入学した1年生は、思い描いていた大学生活を送ることができず、同級生の顔もわからず、不慣れなオンライン授業が続き、不安な日々を過ごしたと思います。そんな中、自分たちの経験を共有し、課題に真剣に取り組んだ証が、この1冊に込められていると思います」と話しています。

 発行された「私たちの教科書」は、実施した学生達へ配付された他、今後同様の課題に取り組む新1年生へも手渡されました。

2021.6.29