杏林大学医学部 間質性膀胱炎医学講座の本間之夫特任教授は、東京大学、大阪大学、理化学研究所、金沢大学との共同研究で、間質性膀胱炎(ハンナ型)の遺伝的背景を解明しました。
間質性膀胱炎(ハンナ型)は、膀胱の粘膜に慢性炎症とびらんが生じ、強い膀胱・尿道痛と頻尿や尿意切迫といった排尿症状により、患者さんの生活の質を著しく低下させる疾患です。国内の患者数は2,000人程と報告されていますが、正確な診断の難しさから、潜在的な患者さんは多数いることが推測されています。症状の強い重症型は国の指定難病とされ、進行すると膀胱が萎縮して尿が溜められなくなり、膀胱摘出に至ることもあります。病態の仕組みはほとんど解明されておらず、標準的な診断基準や根治治療も確立されていません。
しかし、今回の共同研究で間質性膀胱炎(ハンナ型)に関わる複数のHLA 遺伝子領域が明らかにされたことにより、病態の理解が大きく進むことが期待されています。また将来的には、新しい診断方法や疾患バイオマーカー、新規治療の開発につながることも期待されます。
本研究成果は科学誌「Cell Reports Medicine」(オンライン版:米国7月18日)に掲載されました。