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服づくりに込めた日本の美を堪能  matohu(まとう)の関口さんと堀畑さんを招きイベント開催

 総合政策学部の卒業生で服飾ブランド「matohu(まとう)」を展開する関口真希子さんとパートナーの堀畑裕之さんを招いて、二人の活動に密着したドキュメンタリー映画の上映会とトークショーが11月11日、井の頭キャンパスで行われ、市民や学生、大学の関係者らが参加しました。

 第1部で上映されたドキュメンタリー映画「うつろいの時をまとう」は、二人の5年間の活動を1時間半に凝縮した映像で、matohuが大切にしている服作りの理念が、日本人が培ってきた「美」にあることがわかる作品です。
 映画では、「服づくりには多くの人が関わっている」という堀畑さんの言葉のとおり、二人はアトリエを飛び出して様々な人(職人)に出会って言葉を交わします。そしてその土地の日常としていまも受け継がれる伝統や自然などに触れ、それらを「服」に表現するまでが丁寧に描かれています。「伝統は革新の連続だ」ということばがmatohuの服づくりに当てはまると映画の中で評されていますが、常に新たな表現をお二人で追及する姿が印象的です。また、映画の中で、関口さんの卒業論文が紹介されるシーンもあって杏林大学での学びが今の仕事の根源的な考えの支えになっている点も描かれています。

 第2部は関口さんと堀畑さんによるトークショーが行われました。まず、映画で取り上げられた「日本の眼」のコレクションから、風景、色、言葉の組み合わせによる服作りや日本の美意識についての解説がありました。次に、「手のひらの旅」のコレクションから伝統的「手仕事」を現代のファッションに活かす作品の紹介があり、続けて最新コレクション「命の糸」の動画で見ることができる養蚕農家や染色の現場など1本の糸から布ができるまでの工程を通じて命への敬意と「サステナビリティ」について語りました。
 また、世界のファッション業界で問題となっている大量生産、大量消費・大量廃棄の問題に触れ、matohuは、受注生産に切り替え、服の在庫を減らしていることを紹介。服の発表はホームページから映像で配信し、二人は服と共に全国を回りその映像を見てもらいながら、直接お客さんと対面して受注をとる形にしていることや流行に左右されない、長く着ることができる服をデザインしていることなど服づくりに込めた思いを披露しました。

 参加者からは、「日常の風景をいとおしく思えるきっかけになりました。心の満足感も得られる貴重な時間でした」「色をいくつもの言葉で表現する日本人の美意識に感嘆するとともに、それをいま、服として表現しているmatohuに関心を持ちました」などの感想が聞かれました。参加者は、映画とトークの間、matohuの考え方や取組みを吸収しようと熱心にノートをとるなどしていました。学生たちも目を輝かせながら二人の話に聞き入っていました。また、運営に携わった学生たちは、今回のイベントをとおして学生同士、卒業生と在学生、地域の方々とのつながりも生まれるなど、実り豊かな企画となりました。

2023.11.15