受験生サイト サークル紹介 学生支援ポータル 学納金サイト  [在学生・保護者専用]

[海外研修]ポートランド州立大学研修(2019/9/8〜9/17実施)

2019年度 ポートランド州立大学研修から帰国した学生の体験記を紹介します。


渡航期間:2019.9.8~2019.9.17
———————————————————————————————————————————————————
保健学部看護学科看護養護教育専攻 荒谷 愛美

1. 日本とアメリカの病院のちがいについて
 日本では特別室や各病棟に何室かある個室を除いて一部屋に2~6名が生活するのが一般的であるが、アメリカでは全室個室が原則であった。また部屋の広さも日本よりもかなり大きく、病室の中にカーテンがなく開放的な空間であることが特徴的であった。これはアメリカの文化である多くの人種が混在していることが関連しているといえる。空間が開放的で一人一人の患者のスペースがありプライバシーが守られるという面ではアメリカの病室は適しているが、同部屋に他の患者がいることにより、そこでの交流が生まれたりすることで閉鎖的な人間関係ではなくなるというのは日本の病室の良い部分なのではないかと考える。文化や人種の特性を鑑みて、それぞれの良さを活かした病室やかかわり方があるのだと考えた。

2. 日本とアメリカの看護師のちがいについて
 アメリカにおいては日本で看護師が行う業務をさらに細分化して分業していた。これを行うことでアメリカの正看護師(以下RN)は看護師という立場を確立していると考えた。日本では担当看護師が情報収集をし、アセスメントし、プランを立案実行し、そのチェックまでを行っている。しかしアメリカではRNがアセスメントやプラン立案を主に行い、そのほかの情報収集やケアの実施は他のそれぞれの専門職が行っていた。RNに必要とされるのは高いアセスメント力によるプランの立案や改善であり、それを確実に行える環境が整備されていた。日本でもアセスメントは重要視されているが、看護師がすべてを行っている現状では難しく、パターン化しがちである。日本の看護師にアセスメント力がないわけではなく、環境を整備していくことでよりよい看護の実践につながっていくのではないかと考える。

3. 日本とアメリカの社会資源について
 アメリカでは日本でいう国民皆健康保険制度が存在せず、それぞれが個々で保険に入り医療費を賄っている。またアメリカは医療費の助成などもあまりなく、日本は社会保障については優れているのだと良さに気が付いた。そして社会保障がしっかりとあるからこそ、国民は病院というものを身近に感じ医者に診てもらえるため、日本の長寿や平均寿命の延伸につながっているのではと考えた。しかし人工呼吸器の装着、胃ろうの形成など、QOLに関する日本の医療問題については日本の医療費助成がしっかりとあるからこそ起こる問題であるのではないかと考えた。アメリカでは医療と経済的問題が切っても切り離せないため、自分の命を医療によりどうするかという考えが国民に浸透しており、ホスピスや安楽死ということが発達しているのではと考えた。

4. まとめ
 アメリカの研修へ行ったことにより、日本の医療や病院、看護師というものを客観的に見ることができた。それぞれの分野でどちらが優れているからそのまま制度や機械を取り入れようとするのではなく、自分の国の文化やニーズに合わせてよりよく取り入れられる部分を取り入れることが双方の国での医療、看護の発展につながるのではと考えた。看護師という職に就く前に日本の看護師を客観的に学ぶ機会になり、看護観を深めることのできた研修であった。