総合政策学部教授 北島 勉
杏林学園はJICA(独立行政法人 国際協力機構)から委託を受け、2024年7月からタイ北部のチェンマイ県とメーホンソン県の病院で治療を受けているHIV感染症患者のうち、病状が安定しているなど一定の基準を満たした方を地域の保健センターに紹介し、治療を継続するための仕組みづくりを進める活動をしています。これまで相互の国の保健・医療機関等の訪問や協議会を実施するなどしてきましたが、今回は、北タイの4つの郡で開催した研修会について報告します。
今回の研修は2月10日から14日にかけて、北タイのチャイプラカン郡、チェンダオ郡、パンマパ郡、メーラノーイ郡でHIV感染者のケアを担当する保健センターの看護師や公衆衛生士を対象に開催しました。内容は、本活動の概要、HIV感染症の診療、看護ケア、抗レトロウイルス療法、HIVや耐性ウイルスの検査、スティグマ、患者紹介の仕組みなど、多岐にわたりました。
今回は、杏林大学の卒業生で、東京医科大学八王子医療センターの平井由児教授(感染症科/専門領域:HIV診療・性感染症診療・感染症コンサルテーション・感染対策)とJICA東京センターで本プロジェクトを担当している小川美都子さんと一緒に、現地を訪問しました。平井教授には、”HIV/AIDS BESIDE OF YOU”というタイトルで、HIV感染者ケアに関する取り組み、患者とのコミュニケーションのあり方、スティグマへの対応に関する講演をしていただきました。
研修参加者に対して研修の前後にHIV感染症に関する知識やケアに関する意識を尋ねたところ、すべての項目で改善していました。
今後は、ケアを希望する患者を保健センターに紹介し、保健センターと病院が連携しながらケアを提供できるよう活動を行っていきます。
【これまでの報告】
・第3報 北タイ・JICA草の根技術協力事業(第3報)本邦研修を実施
・第2報 キックオフミーティングを実施
・第1報 北タイでHIV感染者のケアに関するJICA草の根技術協力事業が始動
2025年2月25日