医学部心臓血管外科学の窪田 博教授は、4月11日、12日にパリで開催された「第3回EACTS Innovation Summit」で講演を行いました。「EACTS」(European Association for Cardio-Thoracic Surgery) は、心臓胸部外科領域の医師や科学者、エンジニアなど世界各国4,000人ほどの会員から成るヨーロッパの組織です。
イノベーションサミットでは、AIやロボット手術、医用画像技術など先進技術に携わる専門家が集い、心臓胸部外科分野における革新的な取り組みについて共有をしています。パリの古城で開催された3回目の本会では、5つの招請講演が行われた他、36演題(ヨーロッパ27、アメリカ7、アジア2)が共有されました。
窪田教授は、世界で初めて実施した術式「弓部大動脈異種心膜置換術」に関する論文がEACTSの学術誌に2024年末に掲載されたことがきっかけで招請されました。招請講演として、「Human-controlled robotic-like cardiovascular surgery utilizing articulated instruments with tactile feedback(触覚フィードバック機能を備えた多関節手術機器による、人間操作型ロボット様心臓血管手術)」と題し、多関節手術機器による心臓手術への応用を世界で初めて行った事を発表しました。
【心臓血管外科 窪田 博教授のコメント】
昨年掲載された論文(こちらから)は、かつては救命が困難とされていた⼸部⼤動脈⼈⼯⾎管感染症に対し、複数の診療科が連携して集学的アプローチで治療を⾏い、良好な⼿術成績と中期予後が得られた結果をまとめたものです。本学でしか成し得ない治療と⾔っても過⾔ではありません。
また今回の講演では、次世代の心臓外科医に向けて、わくわくするようなテーマを選びました。ヨーロッパ には、「10のアイデアがあれば1つでも形になれば良い」というような懐の深い、自由な発想を育てる⾵⼟があります。今後も次世代に繋がるような臨床や研究のテーマを残していきたいと考えています。
なお今回のサミットは、緑に囲まれた由緒ある古城を会場全体として使用し、一線の科学者たちが自由に交流し、三食を共にしながら過ごす形式で行われました。真剣な議論が交わされる⼀⽅で、楽しく、⼼に残る得難い時間となりました。
2025年5月2日