昨今増加する炎症性腸疾患患者において、脊椎関節炎の合併はさらなる疾病負担となることが知られていますが、日本人における詳しい実態は分かっていませんでした。

　杏林大学医学部腎臓・リウマチ膠原病内科学教室と消化器内科学教室の共同研究グループは、早期炎症性腸疾患（発症３年以内の潰瘍性大腸炎およびクローン病）における脊椎関節炎の合併率とスクリーニング法の性能評価 に関する前向き研究を実施しました。同意の得られた早期炎症性腸疾患患者を全例リウマチ専門医が診察したところ、その11.8%に脊椎関節炎が合併するという新たな知見が得られました。また簡便な患者質問票が脊椎関節炎の発見に有用であると判明しました。
　本成果は、炎症性腸疾患に合併する脊椎関節炎の早期診断のために、診療科間の密接な連携が重要であることを示すものであり、そのスクリーニング法も含め全国の診療体制整備に資する基盤となると考えられます。

　本研究成果は2025年9月18日に「Journal of Gastroenterology」に掲載されました。

論文タイトル
Prevalence, characteristics, and screening of spondyloarthritis in Japanese patients with early inflammatory bowel diseases: a prospective multidisciplinary study – PubMed

Fukui S, Kishimoto M, Matsuura M, Sakamoto A, Ono K, Kobayashi S, Kawashima S, Ikegaya N, Kawakami T, Mitsui T, Saito D, Hayashida M, Miyoshi J, Komagata Y, Hisamatsu T. Prevalence, characteristics, and screening of spondyloarthritis in Japanese patients with early inflammatory bowel diseases: a prospective multidisciplinary study. J Gastroenterol. 2025 Sep 18. doi: 10.1007/s00535-025-02301-4.

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