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北タイ・JICA草の根技術協力事業(第7報) 保健センターでのインタビュー

総合政策学部教授 北島 勉

 杏林学園はJICAから委託を受け、2024年7月からタイ北部のチェンマイ県とメーホンソン県の病院で治療を受けているHIV感染症患者のうち、病状が安定しているなど一定の基準を満たした方を地域の保健センターに紹介し、治療を継続できる仕組みづくりを目指す活動をしています。これまで相互の国の保健・医療機関等の訪問や協議会を実施してきました。
 2026年2月にはプロジェクトサイトの保健センターの看護師等への研修を開催し、3月から紹介基準を満たした患者の選定と意思確認、保健センターへの紹介が始まっています。今回は、メーホンソン県メーラノーイ郡、同パンマパー郡、チェンマイ県チェンダオ郡、同チェイプラカン郡の4つの郡で行われているプロジェクトサイトを訪問し、保健センターでHIV感染症の治療を受けている患者さんからお話を伺いました。

メーラノーイ郡メーラルアング保健センターでの面談の様子

【保健センター 患者・スタッフの話】 

 2月23日〜27日にかけて、メーホンソン県のメーラノーイ郡のメーラルアン保健センター、パンマパー郡のナープンポン保健センター、チェンマイ県チェンダオ郡のバーンナワイ保健センター、チェイプラカン郡のバーンポンタム保健センターを訪問し、それぞれの保健センターでHIV感染症の治療を受けている患者さんとケアを提供しているスタッフから話を聞きました。患者さんは、みなさん保健センターで治療を受けられることに満足をされているようでした。「病院を受診すると1日がかりになるが、保健センターを受診すると30分程度で済ませることができ、仕事を休まなくてもよくなった」という話を多くの方から聞くことができました。中には、「自宅から病院までの公共の交通手段がないため、ヒッチハイクのようなことをして通院していましたが、保健センターで治療を継続できることになり大変助かっている」という方もいました。病院から保健センターへ患者を紹介する取り組みは、プロジェクトの活動として実施していますが、みなさんプロジェクト終了後も継続して欲しいとのことでした。
 HIV感染症患者のケアを担当している保健センター看護師からは、「患者数が10人未満で、1か月〜2か月に1回の受診であるため、負担は大きくなく、病院のエイズコーディネーターナースや薬剤師とも連携がとれているため、問題なくケアが提供できている」ということでした。

パンマパー郡ナープンポン保健センターのスタッフ、患者さんと
チェンダオ郡バーンナワイ保健センターでの面談

【メーラノーイ郡 保健センターの取り組み】

 タイでは、HIV感染症の患者は、年に1回ウイルス量を測定するための検査を受けることになっています。そのため、保健センターに紹介された患者も、年に1回は病院に行くことになります。そのような状況の中、メーラノーイ郡では、その検査のための採血を保健センターで行い、血液を病院に送り、検査結果については、病院の医師が遠隔診療のシステムを使って保健センターにいる患者に伝えるという新たな試みを始めたとのことでした。これが上手く行けば、病状が安定している患者は、病院を受診することなく、治療を継続できるということになります。

【プロジェクト終了まで5か月】

 このプロジェクトも残すところ5か月間となりました。2月末現在、プロジェクトサイト4か所で合計99人が病院から保健センターに紹介され、治療を継続しています。これは、保健センターへの紹介基準を満たした患者の35%です。保健センターを受診している患者さん自らが病院のHIV外来に行き、保健センターで治療を継続することの良さを伝えたいと言ってくれました。今後、保健センターで受診を始める人が増えるかもしれません。

チャイプラカン郡バーンポンタム保健センターのスタッフ、患者さんと

■これまでの報告はこちら
北タイ・JICA草の根技術協力事業(第6報) メーホンソン県の病院と保健センターを訪問
北タイ・JICA草の根技術協力事業(第5報) チェンマイ県の2つの地域での進捗報告
北タイ・JICA草の根技術協力事業(第4報) 現地の保健センタースタッフを対象に研修会を開催
北タイ・JICA草の根技術協力事業(第3報)本邦研修を実施
北タイ・JICA草の根技術協力事業(第2報)キックオフミーティングを実施
北タイでHIV感染者のケアに関するJICA草の根技術協力事業が始動

■プロジェクトのFacebook: https://www.facebook.com/groups/sanpatongmodel

2026年3月24日