外国語学部観光交流文化学科教授 小堀貴亮
保健学部リハビリテーション学科教授 石井博之
外国語学部観光交流文化学科教授 古本泰之
地域総合研究所客員研究員 北出恭子・中川智博・鈴木宏規
〔2024年度 杏林大学地域総合研究所 指定研究〕
我々はこれまで、保健学部・外国語学部観光交流文化学科の教員が主体となり「ウェルネスツーリズム」の推進に取り組んできた。本研究におけるメンバーは健康寿命延伸と運動、栄養と運動、観光学、温泉の専門家で構成されている。今年度は特に、本学と包括連携協定を締結している田原市と、新たに地域連携活動を進めている長野県において研究・教育を進めてきたので、その成果を報告する。
今年度は主に田原市・東伊豆町および長野県観光機構の関係者と我々が協議を行い、今後の方向性を検討した。現時点のウェルネスツーリズムにおける個別の取り組み状況および今後の計画は以下の通りである。
(1)現状報告
【愛知県田原市】
外国語学部・保健学部の教員が同市の行政・観光関連従事者向けに「田原市観光まちづくり実践塾」を開催。本年度はオンラインで開催し、本学教員と学生(小堀ゼミナール・古本ゼミナール)によるプレゼン、田原市行政関係者および地域住民との交流・意見交換を行った。なお、小堀ゼミが制作に協力した田原市のガイドブック「たはら巡り~な」が完成し、同市公式サイトで公開されている。
※「たはら巡り~な」は、田原市で体験できる53のプログラムを紹介したガイドブック。「杏林大学おすすめモデルコース」が見開き2ページで紹介されている。
【長野県観光機構】
長野県観光機構と連携して学生たちが取り組んできた「信州物味湯産手形を活用した周遊型ウェルネスツーリズム」に関する旅行プランが完成し、「杏林大学生と創ったモデルコース Re ☆ My Life in NAGANO(リ・マイライフ・イン・ナガノ)」として長野県観光機構のウェブサイトで公開された。およそ1年かけて、これまで学んできた観光やウェルネスツーリズムの知識をもとに、長野県に関する情報を徹底的に調査し、それらを落とし込んで完成させた旅行プランは4コース(スポーツ/カルチャー/グルメ/ヒーリング)に分かれていて、各コースは4つのプラン(春/夏/秋/冬)で構成されている。
(2)今後の計画
・我々の専門性を活かしたウェルネスツーリズムの策定について、引き続き検討し、観光交流文化学科および保健学部の学びの特性を活かしながら各地域における「観光」×「健康」の融合について研究を進めていく。
・誰もが受け入れられ、皆で楽しむことができる観光のあり方をそれぞれの地域で確立を目指し、障がいや介護の必要性の有無、年齢、嗜好性などの多様性を考慮し、より多くの人が楽しめ、更に健康増進や幸福感を享受できる観光プログラムを構築することとした。また、観光地および施設のバリアフリーとユニバーサルデザインの導入を目指して、まずはより汎用性のある評価手法の規格化から行う。
・観光地の温泉以外のリソースも活用した複合型ウェルネスツーリズムの策定を目指し、観光や温泉だけでなく、リクリエーション、スポーツ、マインドフルネス、リラクゼーション、ガストロノミー、文化活動など様々なその土地ならでのアクティビティーの提供を行う。
これまでの研究活動で不足していた項目や課題を吟味し、引き続き対象地域にて調査を継続していくとともに、杏林型ウェルネスツーリズムの確立を目指していく。さらに、対象地域関係者や地域住民との連携を図りながら地域性を活かし、我々の専門性がウェルネスツーリズムに貢献できるように模索していきたいと考えている。
《参考文献》
1)荒川雅志(2017). ウェルネスツーリズム~サードプレイスへの旅~フレグランスジャーナル社
2) 小堀貴亮(2021):「愛知県田原市伊良湖地区における温泉観光開発と今後の展望」温泉、89巻4号
外国語学部観光交流文化学科教授 小堀貴亮
別府大学短期大学、大阪観光大学、共栄大学、桜美林大学、川村学園女子大学、昭和女子大学、駒沢女子大学、玉川大学などで教鞭をとる。2020年 杏林大学着任。研究テーマは日本における保養温泉地の地域的展開、台湾における温泉観光開発、温泉地におけるウェルネスツーリズム
保健学部リハビリテーション学科教授 石井博之
青年海外協力隊、JICA(国際協力機構)青年海外協力隊調整員としてマレーシア、マラウイ共和国、中国、ヨルダンで活動を行う。国際医療福祉大学、国際医療福祉リハビリテーションセンターで勤務。2011年杏林大学着任。研究テーマは、リハビリテーション分野における国際協力に関する研究、下肢装具の効果に関する研究など
外国語学部観光交流文化学科教授 古本泰之
川村学園女子大学、駒沢女子大学、東京立正短期大学、信州短期大学、立教大学、帝京大学で教鞭をとる。2005年杏林大学着任。研究テーマは観光地開発論、観光地における文化施設
杏林大学地域総合研究所客員研究員 北出恭子
温泉専門家として国内外の温泉を年間300以上入湯。多くのメディアや講演などで温泉の魅力を世界に発信。杏林大学で温泉研究する傍ら大学講師や観光行政の有識者を歴任。スプリングラボ合同会社CEOとして、泉質評価や温泉資源を活かした温泉地づくりのアドバイザリー事業なども行う
杏林大学地域総合研究所客員研究員 中川智博
自治体、観光地域づくり法人(DMO)、企業の海外デジタルマーケティングを支援。観光・デジタルマーケティングに関連する講演を多数実施
杏林大学地域総合研究所客員研究員 鈴木宏規
静岡県庁