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来春スタート! 言語聴覚療法学専攻の学び特集 

保健学部再編の肝は“言語聴覚療法学”

新学部は8学科5専攻

 2023年4月、杏林大学保健学部はこれまでの9学科2専攻の学部構成を再編成し、理学療法学科と作業療法学科に、言語聴覚療法学を加えた「リハビリテーション学科」を新たに設置して8学科5専攻からなる学部として新たなスタートを切ります。
 新しいリハビリテーション学科は、理学療法学(定員65名)、作業療法学(定員50名)、言語聴覚療法学(定員25名)の3つの専攻分野で学生を募集します。今回の学部再編は、近年のリハビリテーションに対する社会的なニーズの高まりに応えたもので、保健学部では初めてとなる言語聴覚療法学専攻の学生を受け入れるための準備を急ピッチで進めています。

付属病院のある養成コースは東京で初

 言語聴覚療法学専攻は、言語聴覚士の国家資格の取得を目的としています。学生は4年間で臨床医学や心理学、言語学などの基礎分野に加えて、言語聴覚障害や発声発語・嚥下障害、臨床実習などの専門分野を履修します。東京都内で言語聴覚療法学を学べる大学は、杏林大学は3校目ですが、臨床実習などで利便性の高い医学部付属病院が併設された都内の大学としては杏林大学が初めてです。

 杏林大学に言語聴覚療法学のコースができることは、言語聴覚士の仕事に興味のある学生や医療・福祉の関係機関の間で大きな注目点となっています。

言語聴覚士は日本社会に必要な将来性ある職業

 2010年に公開された映画「英国王のスピーチ」は、9月に亡くなったエリザベス女王の父 ジョージ6世が言語聴覚士の訓練で吃音を乗り越えた実話が基になっています。言語聴覚の訓練は古代ローマの時代からあったと言われ、その後ヨーロッパやアメリカで発達しました。日本では1999年から国家試験の制度が始まり、現在38,200人の言語聴覚士が登録されていますが、その数は、アメリカと比べ人口比率で40%に満たないのが現状です。このため、全国の医療・福祉の現場で必要人数を大幅に下回っており、言語聴覚士の就職率は100%、求人は学生数の20~30倍とも言われます。近年は高齢化に伴う飲食や嚥下の障害、それに声を使って働く人の発声障害に対する治療やリハビリを行うケースが増えているということです。アメリカの言語聴覚士で、ケンタッキー大学の准教授と杏林大学医学部の非常勤講師も務める石川恵子さんに聞きました。

<杏林大学医学部 石川恵子非常勤講師インタビュー>

あなたの声を取り戻します!

もともと歌手志望だったそうですね?

 はい。歌い手になりたくて米国に留学したのですが、声が出なくなって耳鼻科で手術をして、言語聴覚士のリハビリを受けました。その時、こういう仕事があることを知りました。そして、歌手や俳優をめざす人などが声の問題で仕事ができなくなった時に、再びステージに戻るお手伝をしたいと思ったのが言語聴覚士になるきっかけでした。

どんな時にやりがいを感じますか?

 人が声をなくすというのは自分の顔が変わるくらいショックなことだと思います。特に声を職業にしている人なら仕事がなくなってしまう。これからどうやって生活していけばいいのだろうと非常に不安な気持ちになります。

 言語聴覚士はいろいろな技術やプログラムを患者さんに紹介し、その人に合うものを選び、使えるように指導します。言語聴覚士のリハビリは、薬でも手術でも治らない人を助けることができますので、自分にしかできないことで患者さんがよくなった時、こんなに嬉しいことはないと感じます。

■□■石川先生が語る「言語聴覚士の魅力」動画はこちら■□■

ワンランク上の杏林大学 言語聴覚コース

 杏林大学の言語聴覚療法学専攻の最大の強みは、総合的な付属病院があることです。学生は効果的な臨床実習を経験でき、多様な症例を手掛けた医師による講義も受講できます。

 そして、看護学科や臨床心理学科など保健学部の他の学科との交流学習や同じリハビリテーション学科の理学療法学や作業療法学にも触れながら言語聴覚の学びを深めることができます。また、吉祥寺に近い広々とした新しい井の頭キャンパスで学べることも学生にとっては大きな魅力です。

 こうしたメリットを生かして有能な言語聴覚士を多数育てて社会に送り出すことが、杏林大学の社会貢献にも繋がると学園の関係者は考えています。言語聴覚療法学専攻 開設準備室長の石毛美代子教授に準備状況などを聞きました。

<言語聴覚療法学専攻 開設準備室 石毛美代子教授インタビュー>


求む!「聞く力」のある学生

開設準備はどのような段階ですか?

 総合型入試(AO入試)の選抜試験を終え、11月の学校推薦型の試験、来年2月の一般試験の問題作成など入試選抜に関わる仕事をしています。ほかに検査機器や実習室の整備、付属病院での見学実習の段取りなどに追われています。

受験生の反応をどう感じていますか?

 付属病院のある大学にできるということ、キャンパスが都心に近く、吉祥寺という若者に人気のエリアにあることで、学生や保護者から高い関心を集めていると感じます。 

 今年のオープンキャンパスでは、言語聴覚療法の模擬授業を行ったところ、高校3年生を含め120人が参加してくれました。「杏林大学を受験するつもりです」と話してくれた高校生も少なくありませんでした。皆さん、井の頭キャンパスの校舎のキレイさにも魅力を感じている様子でした。

どんな学生に受験してほしいですか?

 言語聴覚士に向いているのは「聞く力」を持った人です。相手の話を理解する力はもちろん、声や発音の特徴などを聞き分ける力のある人が有利です。また、声や言葉がスムーズに出ない人に対して、その状況や気持ちを理解し、推察し、それに合わせて働きかけることも必要です。そういう「総合的な聞く力」を持った人に受験し、入学してほしいと思っています。

杏林大学病院のリハビリ患者さんの体験談

 現在、杏林大学医学部付属病院には7人の言語聴覚士が勤務し、医師の診断をもとに日々治療やリハビリを行っています。杏林大学病院の言語聴覚士からリハビリを受けた患者さんの体験談を紹介します。

■声帯が閉じて声が出なくなった歌手(30代・女性)

 どこの病院でも良くならず、不安になっていた時、杏林の言語聴覚士さんの指導を受けて目からウロコの体験をしました。例えば「喉の力を抜く」とはどういうことなのか、声を出すにはどの筋肉を使うのかがわかるようになりました。自分の身体感覚みたいなものを把握できるようになり不安が解消されました。将来また症状が出たとしても自分でコントロールできる自信がつきました。

■喉の腫瘤で痛みと共に読経の発声が困難になった僧侶(50代・男性)

 歌って下さい、あくびをして下さい、ため息をついて下さい、などと言われ、変なことをするものだと思ったのですが、数か月で痛みが和らぎ、声が出るようになりました。投薬も手術もせず、リハビリという自分が本来持っている自分の力だけで症状を直すことができるんだと知り驚きました。

(杏林大学新聞28号より)

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