杏林大学医学部 間質性膀胱炎医学講座の本間之夫特任教授は、東京大学、アイオワ大学、タグシクス・バイオ株式会社、金沢大学との研究グループで、間質性膀胱炎(ハンナ型)について患者臨床サンプルを用いた包括的なゲノム病理解析を実施しました。
間質性膀胱炎(ハンナ型)は、膀胱の粘膜に慢性炎症とびらんが生じ、強い膀胱・尿道痛と頻尿や尿意切迫といった排尿症状により、患者さんの生活の質を著しく低下させる原因不明の疾患で、特に症状の強い重症型は、国の指定難病となっています。その病態機序はほとんど解明されておらず、標準的な診断基準や根治治療も未だ確立されていません。国内患者数は約2,000人程度と報告されていますが、診察等を受けていない潜在的な患者は多数いると推定されています。
共同研究では、包括的ゲノム病理解析によって、Th1/17型免疫応答の亢進を突き止めるとともに、治療標的としてインターフェロン-γ(IFN-γ)を同定しました。さらに、タグシクス・バイオ株式会社が有する独自の人工核酸技術を用いてIFN-γに高親和性・特異性を有する核酸アプタマー(抗マウスIFN-γアプタマー)を創製し、モデルマウスで膀胱内投与による高い治療効果を実証しました。本研究成果は抗IFN-γアプタマーによる間質性膀胱炎(ハンナ型)の新規治療法開発につながることが期待されます。
本研究成果は科学誌「iScience」のサイトに2023年11月9日付、本誌には11月17日付で掲載されました。
*2023年7月関連プレスリリースは【こちら】