准教授
鄭 英淑
(CHUNG, Young-Sook)

経歴
1987年 韓国高麗大学日語日文学科卒業
1994年 韓国高麗大学日語日文学科修士課程修了(文学修士)
2001年 韓国中央大学日語日文学科博士課程修了(文学博士)
2004年 国際基督教大学比較文化研究科修了(文学博士)
2002年から2005年まで 国際基督教大学、明海大学の非常勤講師を経て
2006年4月 杏林大学外国語学部専任講師に赴任して、現在准教授

先生の専門は何ですか?

私の専門は日本語の語彙です。特に近代時期に作り出された近代訳語です。近代時期に西洋からそれまで接したこともない新しい物や概念が入ってきます。豚カツやコーヒー・ステーキ、自由・平等・ 個人・国家・社会など、今はなんの解釈も入らないことばですが、西洋から流入された当時はそれが何なのか、どのような意味なのか分からなかったはずです。明治時代以前は士農工商の身分社会でした。どのような親に生まれたかによぅて身分が決まることを当たり前だと思っていた時代でした。西洋から‘liberty’‘equality’などの概念が入って、それを当時の日本人が‘自由’‘平等’に翻訳します。新しい概念に対して日本語ができ、以降このことばは次第に一般人の間に広まっていきます。最初は何の意味かよくわからなかったのですが、使っていく中で意味が分かり、そのような概念が日本人の間に定着して今のような社会になったのです。ことばによって新しい思想や生活様式が生まれて時代は変わっていきます。このようなことばを研究しています。

なぜ、その専門に興味を持ったのですか?

私が初めて日本語に出会ったのは高校2年生の時、第二外国語として選択した日本語の授業でした。その時、韓国語に使われていることばには日本語から流入されたものが多数あることが分かりました。政治・経済・外交・教育、手続き・葉書・手配、おでん・カレー・アパートなど、一々挙げられないほどです。それまではまったく韓国語だと思って使っていましたが、このことが分かって、どうして当時韓国人は日本から新しいことばが入った時、韓国語に直さなかったのか、いろいろ考えました。少し探ってみたら、歴史的な事情があることが分かりました。‘おでん’は、植民地時代に韓国に来ていた日本人が自分の故郷の料理が食べたくておでんを作って食べたらしいです。それを周りの韓国人が真似して作って食べはじめてから、だんだん韓国人の間に広まったそうです。このようにことばの由来から自分の国の歴史や文化、さらに相手国との関係も分かることに興味を持つようになり、ことばを研究するようになりました。

先生の専門分野の「こんなところが面白い」を教えてください。

私の専門は近代訳語ですが、授業では新語や流行語についても教えています。ことばは社会の映し鏡といわれています。すなわち、ことばにはその人、その社会の価値観・生活習慣・文化・歴史など、人間の営みがすべて溶け込んでいます。特に新語や流行語には当時の社会現象がよく表れています。最近韓国では‘就準生(就職準備生の略語)’や‘デジタル認知症’などが流行っています。‘就準生’は、大学を卒業しても就職できなくていろいろ準備している人を指すことばです。このことばから今韓国は大学を卒業してもなかなか就職が難しいことが分かります。‘デジタル認知症’は、デジタル機械に頼りすぎてかかる病気を指すことばです。もともと‘認知症’とは老化で脳の細胞が死んで覚えられない病気です。しかし、スマートフォンが世の中に出てから、自分の親や友たちの電話番号、生活に必要な情報など、何もかもスマートフォンを押すようになりました。だから今の人たちはあまり覚えようとしないです。このような社会現象を風刺していることばです。ことばを通して社会が理解できて、その上で、どのような姿勢で生きていけばいいか、を考えることが出来ます。

大学で専門的に学ぶことでどんな未来が?

大学とは、高校と違っていろんな地域、国家から人が集まって、様々な分野の学問を学ぶところです。このような環境で学ぶことによって、自分と違う考え方や価値観を持つ人たちを理解するようになり、自分自身についても考え直すことになります。いろんな国の言語だけではなく、政治・経済・哲学・心理学、また医学・保健学・スポーツなど、他分野の科目も勉強することが出来ます。このような勉強をしていく中で、新しい知識が蓄積され、さらに融合・分析できる力もできるようになります。大学で培った教養・知識、そして共感力などは、皆さんを日本だけでなく世界で活躍できるグローバル人材にしてくれると思います。

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