講師
海谷 千波
(KAIYA, Chinami)

【学歴】
2000年 獨協大学外国語学部英語学科卒業(学士:外国文化)
2002年 獨協大学大学院外国語学研究科英語学専攻博士前期課程修了(修士:英語文化)
2006年 獨協大学大学院外国語学研究科英語学専攻博士後期課程単位取得退学
【職歴】
2002年4月~2003年3月 川口市立仲町中学校非常勤講師
2004年4月~2005年3月 獨協中学・高等学校非常勤講師
2005年4月~2006年3月 足立学園高等学校非常勤講師、学習院高等科非常勤講師
2006年4月~2010年3月 東京都立竹台高等学校
2010年4月~2015年3月 東京都立小岩高等学校(異動)
2015年4月~ 杏林大学外国語学部講師

先生の専門は何ですか?

多文化共生社会で文化的背景の異なる人同士が関わり合う「異文化コミュニケーション」を主に研究しています。「異文化」と聞くとつい「海外」を想像するかもしれませんが、実は日本国内でも異文化に関わる様々な問題が生じています。

例えば、皆さんの学校には外国人や外国にルーツのある友達はいますか。答えが「No」の場合、あなたは既に「彼らを隠蔽する罠」にかかっているだけでなく、「日本人の常識」を盾に「差別の加害者」になってしまっているかもしれません。

このような問題を解決するためには、日々表現・実践される「文化的差異」を分析し、他者との平和的関係構築に主体的に参画する応答責任を身につけることが重要です。この意味における「コミュニケーション教育」普及が急務だと思っています。

なぜ、その専門に興味を持ったのですか?

大学1年生の必修科目「国際コミュニケーション概論」(名称は当時のもの)を受講した時に「コミュニケーション」という専門的な学びの存在を知り、興味を惹かれ、2年生進級時に国際コミュニケーションコースを選択しました。

コースには「異文化コミュニケーション論」、「マス・コミュニケーション論」、「スピーチ・コミュニケーション論」、「コミュニケーション論特別講義」や「専門講読」(名称はいずれも当時のもの)といった授業が豊富に揃っていて、コミュニケーションに関する様々な現象、課題、背景などを学びました。

特にコース必修科目「異文化コミュニケーション」には衝撃を受け、それまで持っていた常識が覆され、私のその後の人生はすっかり変わってしまいました。

先生の専門分野の「こんなところが面白い」を教えてください。

皆さんは「宗教のハシゴ」をしますか。

年末のクリスマス、除夜の鐘、初詣、初日の出、最近ではハロウィンやイースターまで、これらの行事は一体どんな目的で実践されているのでしょうか。皆さんは説明できますか。

このような宗教・信仰・世界観などの精神文化とコミュニケーションに関する研究は、異文化コミュニケーション研究者・教育者にとって今後ますます急務となります。ご存知の通り、世界各地では対立、紛争、そしてテロが頻発していますが、国際社会が知恵を出し合ってもなかなか解決できずにいるのが現状です。このような状況下において、多文化共生社会における平和的関係構築・発展・維持に非常に大きな貢献をする可能性を秘めているのが、実は「宗教のハシゴ」文化です。「宗教のハシゴ」を許さない世界とは「異なるアプローチ」を提供できるかもしれないからです。

確かに日本の国際化やグローバル化は、欧米をモデルに進められてきました。しかしながら、いわゆる「9.11」や「リーマン・ショック」などは、我々に「欧米をモデルとした近代合理主義や資本主義・経済至上主義に基づくグローバル化社会はどこか脆弱なシステムを抱えている」と示唆してくれました。

「ポスト・グローバル化」時代に生きる我々がなすべきことは、脆弱なシステムに変更を加えるために、世界とは「異なるアプローチ」を探求することではないでしょうか。

大学で専門的に学ぶことでどんな未来が?

近頃「社会や世界の急激な変化に対応できる人材」が求められているようですが、そのような人は本当に存在可能でしょうか。もし不可能なのだとしたら、存在するのは「社会に変化をもたらす人間」でしょう。

その意味では、大学で専門的に学ぶことで、「当たり前」や「常識」と思い込まされてきた表現や事実に対抗できる「少しだけ悪い市民」になることが可能です。他者から言われたことを正しく実行する「良い市民」だけでは、組織・社会・国家・世界は良くなりません――むしろ、悪くなるとさえ歴史が証明しています――。

未来は未定です。大学での学びは、その未来を変える力になります。

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