講師
小林 輝美
(KOBAYASHI, Terumi)

経歴
1998年3月 獨協大学外国語学部ドイツ語学科卒業(学士:外国文化)
2006年3月 獨協大学外国語学研究科英語学専攻博士前期課程修了(修士:英語教育)
2012年3月 東京工業大学社会理工学研究科人間行動システム専攻博士後期課程単位取得満期退学
2007年4月 杏林大学外国語学部助教
2015年4月 杏林大学外国語学部講師(現在)

先生の専門は何ですか?

教育工学です。教育工学は教育に関わる全てのことを扱う学問領域で、私は特に「学習」について学習心理学、社会心理学、学習科学、認知科学などの観点から研究を行っています。最も興味があるのは「自己モデリング」と言って、自分自身を撮影したビデオを視聴することで学習する方法です。研究の結果、ビデオ視聴時に動きに注目することがわかったので、ビデオを撮影したり、複数のビデオを比較したりできるシステムを開発しました。また、ビデオ視聴時に生じる感情(自分のビデオを見るのが嫌だったりしませんか?)や自分ひとりで視聴することと他の人と一緒に視聴することの違いについても研究しています。

なぜ、その専門に興味を持ったのですか?

学習塾や部活動で指導する際、何となく長年の経験でネイティブスピーカーや世界的な選手ではなく、「この子の真似をしてみて」というように指導する対象の同じ学年の子をモデルとして提示することがよくありました。経験や勘ではなく、もしかしたら理論的に説明できるのではないかと思い、専門的に勉強してみようと大学院に進学しました。モデルを提示する手段としては何度も見ることができるビデオが良いのではないかと考え、当初は教材開発をするつもりだったのですが、学習心理学との運命的な出会いを果たしてからはビデオを視聴する側について研究しています。

先生の専門分野の「こんなところが面白い」を教えてください。

研究対象が「人」であることです。十人十色という言葉が示す通り、たとえ双子であっても所属するクラスやランチグループが違えば関わる文化が変わるので、好みや考え方などがみんな違います。「異文化」というと他国の文化を連想しがちですが、前述のように同じ家で生活する家族の中にも異文化は存在するので、身近な人から学ぶことは本当に多いのです。さらに、教師などの大人よりも同じ立場のクラスメイトの方が良いモデルとなり、学びやすいことも心理学の「モデリング」の研究が明らかにしています。自分自身をモデルとすることはビデオを撮影したり、視聴時に嫌悪感があったり、困難かもしれませんが、そこからいかに効率よく学習するかということを探求していくことは面白いです。

授業中にその方法を明示することはありませんが、褒めることで暗示しています。褒める人、使用する言葉、個人的かクラスメイトの前か、ネガティブな言葉を使用せず、自己効力感を高められるよう、カウンセリングの手法を用いたりして工夫しています。ひとつのことが全員に通用するわけではないので難しいですが、そこがまた面白いですね。「自己モデリング」はメンタルトレーニングと通じるところがあり、授業だけでなく、スポーツや恋愛にも良い影響があると信じています。

大学で専門的に学ぶことでどんな未来が?

学術書の巻末には参考文献の一覧が掲載されています。何かを明らかにするには、それを証明するための裏付けが必要です。その裏付けが適切なものかどうかを判断するために、本、雑誌、論文などを読み、ひとつの物事を様々な観点から検討するのです。自分の考えをまとめる過程でたくさんの書物を読み、先生や友人と議論し、いろいろな考え方があることを知ることは、きっとあなたの世界を広げてくれることでしょう。大学は世界中の人々との出会いの場であり、知的好奇心を刺激し、その欲求を満たしてくれる場であると思います。学問を通じて人間的に成長すること、およびその方法を知ることは一生の財産になるのではないでしょうか。

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