乾癬(かんせん)や乾癬性関節炎は年々患者数が増えている疾患です。近年は「生物学的製剤」や「JAK阻害薬」など、新しい分子標的治療薬が登場したことで治療成績が大きく向上しました。
一方で、乾癬性関節炎の患者さんの中には、メタボリック症候群、炎症性腸疾患(IBD)、ぶどう膜炎などの合併症を持つことが多く、治療が複雑になるケースも少なくありません。実際、一定数の患者さんでは標準治療だけでは十分な改善が得られず、治療選択に難渋することがあります。
そのような中、杏林大学医学部 腎臓・リウマチ膠原病内科学教室の岸本暢将 准教授は、国際学会 GRAPPA(Group for Research and Assessment of Psoriasis and Psoriatic Arthritis)の委員として、「マネジメントに苦慮する乾癬性関節炎(complex-to-manage PsA)」の定義づくりに携わりました。
この新しい定義は、治療が難しい乾癬性関節炎の患者さんをどのように評価し、どんな視点で治療方針を検討するべきかを示すもので、今後の新しい治療法開発や医療の質向上につながる重要な成果です。
このGRAPPAによる共同声明は、2025年11月27日付で医学専門雑誌「Nature Reviews Rheumatology」に掲載されました。

~2026年度 乾癬・乾癬性関節炎外来(皮膚科・リウマチ膠原病内科)新設へ
上記を踏まえ、早期の診断とより専門的な治療体制の構築を目的に、杏林大学医学部付属病院では2026年度より、皮膚科とリウマチ膠原病内科の合同で「乾癬・乾癬性関節炎外来」(原則:木曜日)」を開設予定です。
皮膚科の倉田麻衣子准教授、リウマチ膠原病内科の岸本暢将准教授を中心に、皮膚症状と関節症状の両方を専門的に評価し、患者さんお一人おひとりに最適な治療を提供します。両科の緊密な連携により、多面的な管理が必要な患者さんにも、より切れ目のない診療体制を整えています。

腎臓・リウマチ膠原病内科学教室 准教授 岸本 暢將
2025年12月5日