受験生サイト サークル紹介 学生支援ポータル 学納金サイト  [在学生・保護者専用]

Faculty of Medicine腎臓・リウマチ膠原病内科学教室

教室専任教員

付属病院・三鷹キャンパス

教授
准教授
講師
助教

付属杉並病院

准教授
講師

教室概要

当教室は、腎臓内科学、リウマチ膠原病内科学の2つの専門分野に関する臨床・教育・研究を幅広く行っています。患者さんに対して最高の医療を提供するとともに、さまざまな症例を通して自ら学び、教育や臨床研究・基礎研究に繋げる姿勢を重視しています。

腎臓内科が扱う疾患には、慢性腎臓病(CKD)、原発性糸球体疾患、急性腎障害(AKI)、腎不全(血液透析・腹膜透析)、水・電解質代謝異常、尿細管間質性疾患、高血圧、糖尿病や膠原病・血管炎などに伴う二次性腎疾患、さまざまな血液浄化療法、などがあります。リウマチ膠原病内科が扱う疾患には、関節リウマチ・全身性エリテマトーデス・全身性血管炎・脊椎関節炎などを中心とするさまざまな膠原病や自己免疫疾患・自己炎症性疾患・リウマチ性疾患を扱っています。

保存期CKDと透析、各種腎炎、ANCA 関連血管炎とSLE・ループス腎炎、関節リウマチ・乾癬性関節炎に関してはとくに症例が豊富で、さまざまな研究成果につながっています。

教育の特色

リウマチ膠原病は全身性疾患でさまざまな臓器症状を呈するため、内科医として幅広い領域のエキスパートになれます。その中でも特に腎臓は、臓器病変として重要です。また腎臓病はCKD・AKIというcommon diseaseであり、また腎臓は他臓器の影響を受けやすい臓器で全身の諸臓器と連関するため、CKDでは全身にさまざまな症状があらわれます。当科では、腎臓病とリウマチ膠原病を極めて効果的に平行して学ぶことができる全国でも数少ない大学の一つであります。

社会的活動

多摩地区に大学本部のある唯一の大学付属病院のため、一般病院やかかりつけ医との連携と情報提供、地域住民の診療と啓発が責務と考えています。腎臓病診療においては、一般社団法人三多摩腎疾患治療医会を主催・運営し、これには多摩地区の110以上の腎臓・透析専門施設が参加し、定期的な研究会開催のほか、CKD対策、透析を中心とする災害対策と感染対策などの事業を展開しています。リウマチ膠原病診療では、多摩リウマチ研究会という多摩地区のリウマチ膠原病診療の主要な施設が参加する会の代表世話人を務めており、地元の医師会と協力して難病診療相談会などを行っています。また患者さん参加型のじんぞう教室・リウマチ膠原病教室を定期的に開催しています。

当科の代表的な研究テーマ

ANCA関連血管炎に関する臨床研究

ANCA関連血管炎の臨床・研究分野において草分け的な存在としてきた歴史と伝統、豊富な診療経験があります。当科の医師は、厚労省難治性血管炎研究班(現在は難治性血管炎の医療水準・患者QOL向上に資する研究班)の班長、分科会長として長年にわたり活動してきており、血管炎の治療ガイドライン作成や各種のコホート研究、国際共同研究などにも参加し、多くの患者さんに貢献できるよう国内外に視野を広げて活動しています。

ANCA関連血管炎の病因・病態の解明

好中球は周囲の細菌の除去のため、自らの核DNAと細胞質内蛋白質を細胞外へ放出することが知られており、これを好中球細胞外トラップ(NETs)と呼びます。NETsは種々の膠原病で病気の原因に関与することがわかってきており、ANCA関連血管炎においても同様に病因に深く関与していることがわかってきました。一方、患者さんの1個1個の細胞が健康な人と違った遺伝子を発現したり違ったたんぱく質を作ったりしているのを探索しています。それらの研究により、ANCA関連血管炎の新たな治療法・診断法の開発に取り組んでいます。

慢性腎臓病の重症化予防における多職種連携の効果に関する臨床研究

慢性腎臓病(CKD)は、腎機能障害がある閾値を超えると進行が不可逆となり、透析などの腎代替療法が必要な状態に至ることが避けられなくなります。その進行を抑えるには、薬物治療だけでなく、栄養指導を含む生活指導なども非常に重要で、多職種連携・地域連携が鍵となります.そのような背景から、当科では厚労省研究の一環として、慢性腎臓病の重症化予防対策、チーム医療の実態把握、および多職種連携の効果に関する臨床研究を行っています。

自然免疫・炎症を標的とした慢性腎臓病・急性腎障害の病態解明と新規治療の開発

慢性腎臓病進行(最終的に透析に至る)や急性腎障害の病態の中心は、尿細管間質の自然免疫と無菌性炎症です。線維化も慢性炎症の一形態です。これらの炎症は、マクロファージなどの自然免疫細胞はもちろん、炎症のきっかけとなる尿細管細胞障害や、免疫細胞とともに間質に存在する線維芽細胞などが複雑なクロストークを形成することで成立しています。この視点から基礎研究を行い、病態解明、ひいては疾患の克服を目指しています。

脊椎関節炎/関節リウマチ国内外臨床・疫学研究

  1. 日本脊椎関節炎学会およびAPLAR脊椎関節炎レジストリーの構築。
  2. ASAS臨床研究(ASAS PerSpA研究)
  3. GRAPPA臨床研究(乾癬性関節炎における治療の有効性に関する性差の分析SAGE PsA study)
  4. 掌蹠膿疱症性骨関節炎研究(イスラエル, UK, 国内共同研究)
  5. CoEvista Japan RA Registry研究 (全国約40施設約2000人RA患者データ蓄積、本校データ主幹施設)
  6. 炎症性腸疾患関連脊椎関節炎に関する前向きコホート研究(消化器内科と共同しIBD-SPAレジストリー構築、早期診断スクリーニング法開発等)
  7. RA臨床研究(AMED高齢発症RAレジストリー構築)

膠原病疾患におけるperipheral helper T (TpH) 細胞の役割

TpH細胞は、PD-1を強く発現しCXCR5受容体はほとんど発現しない特徴を持ちます。先行研究で、これまで見つけられてきた様々なタイプのヘルパーT細胞と独立した、別の性質をもつ細胞であることが示されています。健常人の末梢血にTpH細胞はほとんど見られませんが、さまざまな膠原病疾患でTpH細胞が出現しているため、膠原病の病態との関連を研究しています。

高血圧性疾患における腎遠位ネフロン電解質輸送機序の解明と新規治療の開発

腎遠位ネフロンにおけるNa、Cl、K等の電解質輸送は、高血圧性疾患の発症に深く関与します。最近では同部の様々な部位・種類の細胞が、交互に作用・協調しながら電解質輸送に働くことが明らかとなりつつあります。我々は高血圧性疾患モデル動物において、遠位ネフロン各部位・細胞種における電解質輸送の機序や交互作用を解析し、その病態への寄与を解明するとともに、これらを標的とした新規治療の開発に取り組んでいます。

近年の主な業績

  1. Kishimoto M, Deshpande GA, Fukui S, Komagata Y, Ohyama M, Kaname S. Upadacitinib for moderate-to-severe atopic dermatitis, in adults and adolescents 12 years and older: review of international and Japanese populations. Expert Rev Clin Immunol. 2023 Jan;19(1):19-35.
  2. Matsubara H, Maeda K, Kaname S. Purple urine bag syndrome. Clin Exp Nephrol. 2022 Dec;26(12):1240-1241.
  3. Ono K, Karube M, Kaname S. Dialysis Catheter Site-Related Tenderness and Erythema. Kidney360. 2022 Apr 26;3(5):979-980. doi: 10.34067/KID.0000592022. eCollection 2022 May 26.
  4. Arikawa S, Fukuoka K, Nakamoto K, Kunitomo R, Matsuno Y, Shimazaki T, Saraya T, Kawakami T, Kishimoto M, Komagata Y, Kurai D, Ishi H, Kaname S. Effectiveness of neutralizing antibody cocktail in hemodialysis patients: a case series of 20 patients treated with or without REGN-COV2. Clin Exp Nephrol. 2022 May;26(5):476-485.
  5. Endo A, Komagata Y, Yamagishi K, Kawashima S, Arimura Y, Kaname S: Two distinct subsets of LDGs (low density granulocytes) in ANCA-associated vasculitis. Mod Rheumatol. 2022 Feb;32(2). 396-405.
  6. Kawashima S, Kishimoto M, Hibino T, Lee H, Sato Y, Komagata Y, Kaname S: MPO-ANCA-positive microscopic polyangiitis following COVID-19 infection. Intern Med. 2022 Feb;61(4). 567-570.
  7. Fukuoka K, Kishimoto M, Kawakami T, Komagata Y, Kaname S: Plasmapheresis for systemic vasculitis. Ther Apher Dial. 2022 Jan;26(3). 493-506. 2022. Epub.
  8. 李恵怜,福岡利仁,國友理恵,下田佐知子,兵動智夏,久木元光,小林知志,佐藤由利子,竹森愛,宮本彩子,小澤祐子,磯村杏耶,川上貴久,駒形嘉紀,要伸也:透析困難症の原因として心アミロイドーシス合併が考えられた1例.日本透析医学会雑誌.55(3).193-200.2022.
  9. 要伸也:腎臓医が診る指定難病:指定難病各論 膠原病関連腎疾患 ANCA関連3疾患(顕微鏡的多発血管炎・多発血管炎性肉芽腫症・好酸球性多発血管炎性肉芽腫症).腎と透析.91(1).136-142.2021.

日本語の解説・書籍など

  1. 要 伸也(分担執筆):血管炎に伴う腎症(ANCA関連血管炎). 腎疾患・透析最新の治療2023-2025; 山縣邦弘、南学正臣編集、2023年1月30日発行、pp168-171, 南江堂、東京.
  2. 駒形嘉紀(分担執筆):好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA).抗リン脂質抗体症候群・好酸球性多発血管炎性肉芽腫症・結節性多発動脈炎・リウマトイド血管炎の治療の手引き2020.針谷正祥編集.診断と治療社.2021年.p39-50.
  3. 要 伸也:【急性腎障害(AKI)】AKIの病態とその対応 血管炎とAKI(解説). 腎と透析.94巻1号. Page58-62(2023).
  4. 要 伸也:【腎疾患対策検討会報告書の進捗と課題】人材育成の進捗と課題(解説). 腎臓内科 16巻6号. Page676-681(2022).
  5. 福岡利仁,要伸也:HUSとatypical HUS.腎臓内科.14巻6号.Page780-790(2021).
  6. 川嶋聡子,要伸也:【総論】RPGNの定義とRPGNの鑑別診断 AKD, CKDとの臨床鑑別.腎と透析.91巻3号. Page 333-340(2021).
  7. 松原秀史,要伸也:小型血管炎・ANCA関連血管炎 顕微鏡的多発血管炎.血管炎症候群のすべて.臨床放射線.66巻10号.Page1151-1161.2021.
  8. 駒形嘉紀:ANCA関連血管炎.東京都医師会雑誌.74巻10号.Page1022-1025(2021).
  9. 岸本暢将,駒形嘉紀,要伸也:脊椎関節炎における分子標的治療薬の位置づけ.日本内科学会雑誌.110巻10号.Page2173-2180(2021).