医学部の研究をサポートする施設・装置を紹介します。
様々な分析装置やそれらを利用する施設が、医学部の研究の推進をサポートしています。
電子顕微鏡は、組織や細胞の微細な構造を研究するための機器で、厚さ0.1 μm以下の超薄切片を用いて数万倍の倍率で観察できる透過型電子顕微鏡と、組織表面などの立体的な構造を観察できる走査型電子顕微鏡の2種類があります。
当部門では、透過型2台と走査型2台の電子顕微鏡が常時稼働しており、また、電子顕微鏡の試料作製のための装置(ウルトラミクロトーム、凍結乾燥装置、イオンコーター、マイクロスライサーなど)が設置されています。研究に使用する動物、微生物などの検体、臨床検体や、培養細胞などを観察することにより、病気の原因究明を含めた各種生体機能の解明を目指した研究目的に活用されています。学生は、組織解剖学実習(医学部2年生)の一環として、電子顕微鏡の見学実習を行ないます。
医学や生命科学の研究では放射性同位元素(RI)が使われることが多くあります。例えば、体の中へ取り込まれた物質がどのように代謝されるのか、或いは薬物が病気の器官でどのように作用するのかを研究する場合などです。RIが出す放射線を頼りに、生体内へ取り込まれた物質が変化する様子を追跡します。
このような研究で用いられるRIがもつ放射能は、原子力発電などに使われるものに比べてはるかに弱く、日常生活で浴びる自然放射線と同程度の強さではあります。しかし、微量といえども日常生活の場所に拡散することは許されません。RIを含む物質を安全に取り扱うために、法令によって、特定の場所でのみ使用が許されており、その購入や使用、廃棄が管理されています。この管理を行い、RIを利用した実験を行う場所が、この放射性同位元素部門です。
レーザー光で蛍光標識した細胞を超高速に解析・分取する「フローサイトメトリー (Flowcytometry/ FCM)」を扱う共同利用施設で,1990年に設立。現在、BD FACSAria™ IIuセルソーター 、BD FACSCanto™ II フローサイトメーター、BD FACSLyric™ フローサイトメーターの3台で運用しています。
当部門で扱うフローサイトメーターは、最大で秒間70,000個の細胞を同時に9項目測定する事が可能です。得られたデーターは即時にワークステーションのディスプレイに蛍光色素の強度で表示され、簡単に分析することが可能です。さらに生きたままの細胞を1個単位で試験管に分取し、培養実験や遺伝子解析に使用する事ができるソーティング機能も持っています。このように、フローサイトメトリーは免疫学や分子生物学等で重要なツールとして活躍しています。より詳細な内容は当部門が運営するWEB siteを御覧ください。
生体の重要な機能分子である蛋白質や、遺伝情報を伝える核酸についての研究をサポートする施設です。古典的な蛋白質、核酸実験のできる機器もありますが、近年発展してきている網羅的な解析手法をとりいれるようにしています。具体的には、多くの遺伝子配列を短時間で解読できる次世代シークエンサー、ある細胞や組織に発現するすべての蛋白質を同定することを目指した質量分析計など、最新の機器をとりそろえています。
生体機能実験部門は、身体の基本的な機能と仕組みを統合的に解き明かすために必要な各種研究機器を備えた部門です。生体機能計測装置ばかりでなくX線撮影室も併設しております。当部門の実験助手は、臨床検査技師・X線作業主任者免許を有しており、実験に際しての安全性、機器管理はもちろん、特殊機器使用上の的確なサポートもできる体制を整えております。なお、設置機器使用方法の説明は当部門で随時行っております。
実験動物施設部門では、がん、心臓病、糖尿病、遺伝病や感染症など、多くの人々を苦しめている疾患の原因解明や新しい治療法・手術法の開発、新薬の開発・効用評価のための動物実験が行われています。
大学等における動物実験に関しては、「動物の愛護および管理に関する法律」(動愛法)ならびに文部科学省や環境省が定めた動物実験に係る基準や指針に則り、「3Rの原則」に基づいて行われなければなりません。本学における動物実験は全て、これらの法令に準拠して平成19年4月1日より施行されている「杏林大学における動物実験等の実施に関する規程」に則り、杏林大学動物実験委員会によって厳正に審査され、学長により承認を受けて実施されております。当部門では動物の福祉を最大限に配慮した動物実験実施環境を提供することで、本学において行われる動物実験を人道的かつ適正なものとし、医学の発展に貢献しております。