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アジアの医療の現状知るために

医学部医学科6年 佐古 梨紗
2024年度 海外クリニカルクラークシップ(フィリピン・デラサール大学医療センター)

(2024年9月取材)

(2024年9月取材)

医療の違い実体験した4週間

私は同じアジア人として他のアジアの国の医療を見たいと思ったこと、発展途上国の現状を知りたかった事、フィリピン人の友人からの勧めがあり、フィリピンで実習をさせていただく事を決意しました。5月6日から5月31日までフィリピンのデラサール大学の医療センターで実習を行いました。
実習を通して、日本との違いを比較しながら、医療問題や国の背景がどうcommon diseaseに影響するのか学ぶ事を目標にしました。

学生に刺激うける

1週目:小児科病棟実習
2週目:NICUでの新生児管理、口唇口蓋裂のオペ見学
3週目:NICUでの新生児管理、NICU当直体験、ER当直体験
4週目:小児精神実習

まず初めに学生のレベルの高さに驚きました。学生のうちから週2,3回24時間当直(寝る場所はありません)があり、休みも平均で月1回程度しかありません。初期対応などは基本的に学生が行います。また英語を話せない人は誰もいなかったです。

さまざまな体験

実習では新生児に筋肉注射やビタミン注射を行ったり、英語で神経発達症の子の母親に問診をとったり、当直を3回体験したり、様々なファーストタッチに参加させてもらいました(実習というより、研修医になった気分でした)。
中でも当直体験は一番心に残っており、夜中の2時に帝王切開のオペに参加し、誕生した新生児のバイタル測定を10分ごとに行った事、ワクチン注射をしたこと、新生児の心肺蘇生に携わった事は一生忘れないと思います。
帰国して実習を行っていますが、これまで以上に知識を最大限吸収できるように、積極的に参加しています。研修医になっても、こうした姿勢は続けていきたいと思っています。

フィリピンの現状肌で知る

衝撃的だったのは、外で食事をすると必ず小さな子供がお金やご飯が欲しいと近寄ってくる事です。大人が食べ残したご飯を必死に食べている子供の姿を見て、心がとても痛くなりました。衛生環境も十分ではなく、私も現地で感染性胃腸炎になり、救急科にかかりました。
また、病院にはチャリティー部門とプライベート部門があり、チャリティー部門は基本的に無償で医療を提供しています。40度近い気温の中、多くの人が外で並んでいる姿に驚きました。家族のために自分の病気を治療するお金を削って死を選ぶ人もいると知り、何とか出来ないのかと遣る瀬無い気持ちになりました。

英語の上達にもつながる

フィリピンは物価がかなり安く、基本的に日本の1/3-1/2くらいの価格です。タクシーもかなり安く、生活面でのストレスはほとんどありませんでした。また、英語圏なので、英語が通じないほうが珍しく、英語の上達にもつながります。親日感情が強く、現地の学生も沢山話しかけてくれました。

【メッセージ】
現地でなければ経験できないさまざまな事を実際に自分の肌で感じ、自分の目で確認できた事は本当に良い経験だったと思っています。フィリピンは学生主体の医療で成り立っているので、色々挑戦したい人、手技を沢山やってみたい人には向いていると思います。

※記事および各人の所属等は取材当時のものです

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