医学部医学科6年 青山 稔
2024年度海外クリニカルクラークシップ(フランス・クレルモン=フェラン大学ガブリエルモンピエ病院、中国・北京大学人民医院)
(2024年9月取材)
(2024年9月取材)
心臓外科医になる私は、豊富な症例数のみならず、日本ではあまり経験する機会がない術式を学ぶ機会をも求め、海外クリクラに志願しました。
5月はフランス・クレルモン=フェラン大学ガブリエルモンピエ病院に、6月は中国・北京大学人民医院に計2ヶ月間留学しました。実習先は、本学心臓血管外科学主任教授の窪田博先生からご紹介いただいたことでクレルモンを、そして私は中国語の母語話者であるため言語の壁がない北京を選びました。
同大学は4つの病院を有しており、心臓血管外科は本院であるGabriel Montpied病院にあります。心臓血管外科専用の手術室が3部屋あり、平日は毎日3-5件の開心術を行っています。外科医は教授を含めて7人、インターンはモロッコ、ベトナムなどから留学に来ている先生など5人が在籍しています。また心臓血管外科専属の循環器内科医、麻酔科医、集中治療医、手術室看護師、臨床工学士が多数在籍しており、みんな仲が良く、チームワーク抜群です。
クレルモンでは、初日のみ病棟で実習しましたが、2日目からは毎日手術室で過ごしました。7:45から術前カンファレンス、8:30頃から手術に参加し、患者のICU帰室まで付き添いました。
自前の拡大鏡をかけて手洗い参加し、助手の役割をこなしながら先生方の手技を盗むべく細部までしっかり観察し、一手一手を学びました。私は医学部低学年の頃から毎日手術の練習をしているのですが、その努力の甲斐あって、3週目には第1助手を任されるようになりました。これは、日本では学生と研修医が経験し得ないものです。
北京大学は24施設もの分院を有しており、中でも2番目に歴史ある大きな分院である人民医院で実習させていただきました。心臓外科は一般床30床、心外専用ICU8床の計38床と多くの病床を有していますが、それでも私のいた時期は満床になるほど非常に多くの患者がいました。医師数も多く、心臓外科には分院なのに約20人も常勤の先生方が在籍しています。私は中国語の母語話者であるため言語の不自由なく、日本にいるときと変わらない水準で実習することができました。
北京では毎日7:45から病棟カンファレンス、8:00頃からICUカンファレンスに参加しました。
月曜日は午前中に手術報告、教授回診、症例検討カンファレンス、午後はクルズスを受講して、その前後はカルテを閲覧したり頂いた教科書で自習したりしました。
火曜日から金曜日は手術室で過ごし、多くの開心術を見学しました。北京は虚血性心疾患の症例が大半を占めており、低侵襲も含め非常に多くの冠動脈バイパス術を経験することができました。
フランスと中国、更に日本でもこれまでに多くの先生から様々な手技の流儀を学ぶことができたため、それらを将来自分が手 術するときの引き出しとして生かしたいです。そしてこれからも、全ては患者さんのために努力を重ねてまいります。
【メッセージ】
私が今回2カ国に留学するにあたって、様々な困難がありました。こうして無事に海外クリクラを終えられたのは、多くの先生や職員の皆様、先輩方、同級生、そして何より家族のおかげです。自分一人では無力ということに気付き、人を巻き込んでいくことが最も大事なことだと考えます。これは海外留学に限らず何事にも通じる考え方ではないでしょうか。
私が多くの方に支えてもらったように、私もこれから海外留学に挑戦する後輩たちを最大限サポートしたいと思います。興味がある方は、ぜひ私の報告書をご覧ください。そして何かあればいつでもどなたでも気軽に声をかけてください。
※記事および各人の所属等は取材当時のものです