総合政策学部では、地域での活動を通じて課題を理解し、解決力を養うことを目的とした「コミュニティ・ベースド・ラーニング(CBL)」プログラムを実施しています。このプログラムに参加した総合政策学科2年生の畔本湊斗さんは、栃木県日光市の農家を訪れ、新規就農者の増加と離農の抑制に向けた提案を行いました。
高校生の時、畔本さんは大学で法律を学びたいと考える一方、「地元で働き、地元に貢献したい」という夢も持っていました。その夢を実現するため、法律をはじめとする幅広い分野を学べる学習環境とCBLプログラムの実践的な取り組みに惹かれ、杏林大学総合政策学部への進学を決めました。そして、1年生の学期末、畔本さんはCBLプログラムへの参加が認められ、訪問先として本学の卒業生が営む栃木県日光市のいちご農家を選びました。事前に農業の基礎知識を学び、新規就農者の動向や離農の課題をリサーチ。解決の仮説を立てた上で、2週間にわたる地域留学に臨みました。
いちご農家を訪れた時は繁忙期の真只中だったため、日の出から日の入りまで、収穫、パック詰め、出荷、販売などすべての作業を体験。また、作業の合間を縫いながら、農業振興事務所や他のいちご農家、販売所を訪問し、現場の声を直接ヒアリングしました。こうして収集したデータをもとに、事前に立てた仮説や自身の就農体験を照らし合わせて農業従事者の課題を分析。その結果、「就農前後の具体的なイメージのギャップの大きさ」が問題だとわかりました。このギャップを埋めるために就農前に短期研修(実習)を経験してもらい、より具体的なイメージをつかんでもらう、という解決策を提案しました。また、研修を効果的に行うためには、地域社会を構成する民間の力も借りながら、徐々に公的機関を巻き込んで進めていく、という具体的な実現手段も提案。こうして寝る間も惜しんで仕上げた成果は地元市役所で発表され、地元紙「下野新聞」にも掲載されました。
このCBLプログラムを通じて、畔本さんは地域課題の発見から解決までの手順を実体験し、社会貢献の意味や価値を知ることができましたが、それ以上に、普通の大学生活では得られない農家や地域の方々との深い交流が何よりの財産になったと振り返ります。「もう一度日光市を訪れ、農家の皆さんに感謝の気持ちを伝えたい」と地域留学の貴重な思い出を晴れやかな笑顔で語っています。
※記事および各人の所属等は取材当時のものです
総合政策学部 半田英俊ゼミナール 4年
花村 南帆(はなむら なほ)さん
大河原 崇樹(おおかわら たかき)さん
今井 大知(いまい だいち)さん
(2024年6月取材)