7月10日(木)から12日(土)に京王プラザホテルと工学院大学 新宿キャンパスで開催された第33回日本乳癌学会学術総会で、医学部乳腺外科学教室の関 大仁講師が、特別企画「どこまでガイドラインに従うべきか?」の中で「日本のリアルワールドデータからみえたパルボシクリブの有効性」について講演しました。
現在の治療ガイドラインでは、ホルモン受容体(HR)陽性HER2陰性タイプの乳がん患者さんに対して、CDK4/6阻害剤のひとつであるパルボシクリブという分子標的薬を1次治療(最初の治療)で行うことが強く推奨されています。
この研究では、国内の700人の再発乳がん患者さんを対象に、パルボシクリブを1次治療、2次治療、3次以降の治療で使用した場合の効果の違いについて検討されました。その結果、2次治療で使った場合でも、病気の進行を長期間にわたって抑えられる可能性があることが分かりました。
関講師は、「転移・再発乳癌の戦略においては、治療効果や予後の延長といった益と、生活の質に与える影響や有害事象、経済的負担など不利益のバランスを考慮することが望ましいと考えられる」と述べ、閉経後のHR陽性、HER2陰性の転移または切除不能乳がん患者を対象に実施した本研究から「パルボシクリブを2次治療で使った場合でも長期的な病勢コントロールが期待できることが示唆される」と報告しました。
なお、本講演については日経メディカルオンライン(2025年8月27日)で紹介されました。
医学部乳腺外科学教室
2025年9月17日