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医学部心臓血管外科との
産学協同開発に参加

保健学部臨床工学科 
4年 新井純奈さん、堀池奈生さん
(2020年11月取材)

低侵襲の心臓手術装置を産学協同で開発

 医学部心臓血管外科窪田 博教授を代表とした他大学・企業との協同研究グループは、不整脈治療等の外科治療を患者への負担を軽減して行なう心臓手術装置の開発に取り組んでいます。
 装置の改良を目指した評価実験には、中島章夫教授をはじめとする保健学部臨床工学科の研究グループ(先端臨床工学G)が協力しています。卒業研究として参加した4年生の新井さんと堀池さんをご紹介します。

→写真:新井さん(前列中央)、堀池さん(右から二人目)
医学部・保健学部教員、大学院保健学研究生と共に

参加した改良に向けての実験

 不整脈疾患である心房細動の外科手術では、心臓を止めて複雑な心房切開を行ったのち縫合施術をするため、患者の負担が高まります。そこで、心臓への直接の外科的施術を行うことなく、組織の上から近赤外線を照射することで、患者の負担を大幅軽減できる「赤外線凝固装置」を開発し、日本や欧州4カ国で特許を取得しています。

→写真:赤外線凝固装置「Kyo-co」と赤外線照射プローブ(右)

 評価実験では、より精度の高い機器への改良を目指して、赤外線の出力温度や照射秒数、回数などを調整しながら、組織の熱変性壊死の深度等を測定します。
 先端臨床工学Gに所属する新井さんや堀池さんたちの実験グループは、まず食用に切り開かれているブタの心臓を元の形状に近づけるために縫合し、血液に見立てた生理食塩液を循環させながら、赤外線の照射を繰り返し、測定結果を記録していきました。
←写真:生理食塩液を食用ブタの心臓に循環させている状態

提案しながら進めた実験

新井さん: 循環器系の分野に関心があったため、卒業研究としてこの協同開発に参加する機会を中島教授からいただきました。昨年度は、ブタの心筋切片を用いた実験が行われましたが、私達が参加した今年度には、臨床の手術に近い状態で実験を行うという課題がありました。そこで、ブタの心臓に生理食塩液を循環させるという循環モデルを提案し、先生方にアドバイスをいただきながら実施することができました。

→写真:プローブで患部の表層を赤外線照射

堀池さん: 今年6月頃から検討・準備を行ってきましたが、コロナ禍のため中々計画が進まない時期もあり、焦ることもありました。しかし、先生方の開発に停滞があってはいけないという思いと、参加していた大学院保健学研究科の先輩の研究を遅らせてはいけないという緊張感を持ちながら実験に取り組み、10月までに数回の実験を重ねることができました。

←写真:生理食塩液の循環装置を準備する二人

実験に参加をして-

<臨床工学技士として必要なチーム医療に触れる>
新井さん: 医学部の先生方に教わりながら実験用のブタ心臓の縫合を経験したり、手術装置の開発に携わることで、医療現場を垣間見ることができました。医師とコメディカルとのチーム医療を学ぶ上で大変有意義な経験でした。卒業までの残りの期間で、国家試験対策に打ち込みながら、臨床に必要な知識なども幅広く学んでいきたいと思います。

→写真:医学部窪田教授に指導を受けながら縫合

<卒業研究発表を実施して>
堀池さん: 将来、臨床工学技士として企業の開発部門への就職を希望しているため、今回産学協同開発への参加という貴重な機会をいただくことができました。
目上の方達と実験を行う中で、社会で求められる、与えられた役割の中で最善の結果を提供する、という大切なことを学ぶことができました。

→11月7日開催の臨床工学科卒業研究発表会で成果を発表

赤外線凝固装置協同開発の記事は【こちら】

※記事および各人の所属等は取材当時のものです

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